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府医ニュース
2023年9月5日 第3047号
高齢化がピークを迎える2040年、在宅医療の需要はますます高まる。第8次医療計画では、二次医療圏域内に「在宅医療において積極的役割を担う医療機関(積極的医療機関)」「在宅医療に必要な連携を担う拠点(連携の拠点)」を位置付ける。特に大阪市では、各医師会が「連携の拠点」の一つになることが想定されている。こうした状況を受け、大阪府医師会は8月17日午後、「大阪市内医師会在宅医療担当理事連絡協議会」を開催。大阪府・大阪市の担当者が詳細な説明を行い、意見を交わした。会場には、市内の各医師会長や担当理事ら、あわせて約40人が集まった。
宮川松剛理事が司会を務め、はじめに中尾正俊副会長があいさつ。在宅医療体制の構築には課題が山積しており、「次期医療計画に位置付ける『連携の拠点』を中心に、地域のかかりつけ医らが、それぞれの機能を発揮することが大切だ」と述べた。
まず、大阪府が、「第8次大阪府医療計画(在宅医療分野)」について説明。計画の改正ポイントとして、▽在宅医療の圏域は「二次医療圏単位」で整備▽「連携の拠点」「積極的医療機関」を圏域内に少なくとも一つ設定▽「連携の拠点」を中心に地域で取り組む――などを挙げた。また、現行の在宅医療関連の補助事業を説示。補助金を拡充しながら在宅医療の体制構築を進めたいとの方針を示した。あわせて「大阪府医療計画」策定に向けた全体スケジュールを伝えた。
大阪市は「連携の拠点」「積極的医療機関」の考え方を明示した。連携の拠点には市健康局・区役所に加えて大阪市内医師会の「在宅医療・介護連携相談支援室」を位置付ける。市担当者は、相談支援室の業務は介護保険事業がベースであり、若年世代等への支援が課題と指摘。一方で、「相談支援室が拠点となることで、様々な世代への支援が可能になる」とし、市健康局・区役所・相談支援室の連携を深めながら体制を構築していきたいとの意向を示した。なお、積極的医療機関については、機能強化型の在宅療養支援診療所および在宅療養支援病院のうち、「同意を得た医療機関」が対象と強調。各医療機関の意向を調査して進めると明かした。
行政からの説明後、活発な質疑応答が展開された。フロアからは業務拡充に伴う人員補充、現状の体制の中で「積極的医療機関」がどう関わるのか――といった懸念が示された。中尾副会長は、在宅医療懇話会・保健医療協議会開催までに「各医師会の方針をまとめてほしい」と提言。行政との協議の場で根拠を示し、適切な医療計画作成に臨むよう促した。