
TO DOCTOR
医師・医療関係者のみなさまへ
TO DOCTOR
医師・医療関係者のみなさまへ
本日休診
府医ニュース
2023年8月30日 第3046号
数年前、ランチを食べに入った喫茶店で、隣の席の若い女性二人の会話が聞くともなく聞こえてきました。
ひとりが言うには、「結婚しても現在の働きながら両親と同居している生活のレベルを維持したいと思えば、共働きをしなければならない。しかし、結婚したら働いていても家事もしなければならなくなる。それならば、現在の家事は母がしてくれる生活の方が良いと思う」。それに対して、もう一人が何と言ったかは覚えていません。
もう何年も経ちますが、「少子化問題」という言葉を見聞きするたび、このふと耳にした若い女性の言葉を思い出します。この人に対して、「親が亡くなったらひとりになるぞ」と言う人はいるかもしれませんが、結婚しても最後はひとりなのは同じです。また、子どもがいれば老後の安泰が保証されているわけでもありません。「家事は母まかせ」はいけないと言うなら、では「妻まかせ」はどうなんだという話になってしまいます。そう考えればこの人は何も間違ったことは言っていないようでもあり、でも私としては何か納得できない思いもあってモヤモヤします。
この女性の考え方が若い女性の代表だとも思いませんし、このような考え方だけが少子化の原因だとも思いません。様々な友人知人達を数十年見てきて、個人にとっては何が幸せかは全く人それぞれであるという感を強くしています。生き方の選択は個人の自由です。
そのことを踏まえた上で、なおかつ国としては少子化は困るという観点から、この女性に何か言葉をかけるなら、何と言えば良いのでしょう?
(瞳)