
TO DOCTOR
医師・医療関係者のみなさまへ
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府医ニュース
2023年8月30日 第3046号
◆前立腺がんの治療薬としてLH―RHアゴニスト製剤を使用するが、その後発医薬品が危うく逆ザヤになりかけた。高額医薬品の仕入れのうえ薬価差益はほとんどなく、クリニックにとって負担の大きい治療となっている。
◆2018年以降の「毎年薬価改定」により、後発医薬品の薬価の下落速度は従来の倍に加速しているという。製薬会社、卸業者、薬局の経営も厳しくなり、薬価の毎年改定はもはや限界との指摘がある。
◆昨今、コロナや夏風邪の流行で、解熱薬や咳止めなどの薬不足が問題となっているが、これに限らず以前より幅広い種類の薬が不足している。その要因は、需要増加と不正製造に端を発する供給不足とされるが、実は薬価改定によって不採算品目が増加し、後発医薬品メーカーの設備投資が消極的で、代替需要の急増に対応できていない実態もあるようだ。
◆コロナの次は医薬品不足による医療崩壊が忍び寄る。医薬品業界や医療現場ではなく、国の責務として「毎年薬価改定」の見直しを含め、医薬品の安定供給策を講じるべきである。(誠)