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時事
府医ニュース
2023年8月16日 第3045号
令和5年7月12日に第549回中央社会保険医療協議会(中医協)総会が開催され、在宅医療について議事が行われた。団塊の世代が7年には75歳以上になり、死亡数は22年まで増加が見込まれ、今後日本は高齢多死社会を迎える。4年度の意識調査では、最期を迎えたい場所やそれまでの医療・ケアを受けたい場所を自宅としている意見が一定数認められる。死因については、悪性新生物・心疾患が増加傾向であり、特に悪性腫瘍を死因とする患者の自宅での死亡が増加している。以上より、在宅医療の需要は引き続き増加する傾向にある。
地域包括ケアシステムにおける在宅医療は住み慣れた地域で自分らしい生活を続けられるよう、入院医療や外来医療、介護、福祉サービスと相互に補完しながら、患者の日常生活を支える医療であり、地域包括ケアシステムに不可欠な構成要素である。在宅医療・介護連携推進事業については、平成27年度から開始され、令和2年度の介護保険法改正における見直しで、PDCAを踏まえた事業展開の推進を図ってきているが、在宅医療の提供体制に求められる医療機能の4つの場面を意識した取り組みについては「急変時の対応」が最も進んでいない状況にある。
在宅医療における診療報酬上の取り扱いについて、在宅患者訪問診療料の算定回数は平成26年から一貫して増加傾向であり、27年と令和2年の比較ではすべての地域で算定回数が増加しているが、人口あたりで最大3.5倍の差が生じている。往診の全体の算定回数は2年まで横ばいであるが、平成27年に対する令和2年の増加率で見ると増加している都道府県と減少している都道府県が存在する。夜間・深夜往診加算および休日往診加算の算定回数は近年大きく増加しており、地域によって算定回数にばらつきを認め、緊急往診加算は4年に特に増加した。
小児に対する在宅医療では、訪問診療の回数は増加しており、訪問診療1回あたりの診療報酬が増えている。在宅時医学総合管理料・施設入居時等医学総合管理料では、情報通信機器を組み合わせた両管理料の算定回数は4年度になって増加しているが、算定回数は両管理料全体の算定回数の0.05%程である。
看取りに関しては、都道府県ごとの看取り加算・在宅ターミナルケア加算の算定回数で地域ごとにばらつきを認めるが、平成27年度以降、全体的に増加している。緩和ケアについて、在宅がん医療総合診療料の算定件数は増加傾向である。末期の悪性腫瘍の患者を積極的に受け入れていると回答した医療機関は22.3%であり、受け入れていない理由については、「緩和ケア医療を提供する体制が整っていないため」「医師の診療科の専門外であるため」が多い。
一方、在支診・在支病以外では「患者の急性増悪時の緊急受け入れ先が十分に確保できないため」が一定程度選択されていた。在宅患者訪問診療料(Ⅰ)2について、算定回数は増加傾向であり、依頼した対象病名としては皮膚疾患(28.6%)、診療科としては皮膚科(32.1%)が最も多い。在宅療養移行加算を算定していない理由としては、「24時間の往診体制の確保ができない」が最も多かった。訪問リハビリテーションについては、医療保険による在宅患者訪問リハビリテーション指導管理料の算定回数は近年横ばいであるが、訪問リハビリテーションの請求事業所は年々増加している。外来在宅共同指導料を算定していない理由としては、指導料1は「該当患者の紹介がなかった」(60.6%)が、指導料2については「当該点数について知らなかった」(39.3%)が最も多かった。(中)