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府医ニュース

2023年8月16日 第3045号

 ◆コロナ禍にあって、ワクチン・治療薬の開発・供給に、製薬会社がしのぎを削った。多大な貢献で評価を得、莫大な利益も得ている。
 ◆薬剤耐性菌による死者は、全世界で100万人以上。今後も増えるという。しかし、治療の切り札となる抗菌薬の新規開発は滞っている。慢性疾患治療薬とは異なり、使用量が限られる。利益が見込めず、開発から撤退する会社が続いている。
 ◆抗菌薬の使用量と収益の切り離しが、英国で試されている。使用量に限らず、新薬を開発した会社に一定額を政府が支払うサブスクモデル。我が国でも試験的導入の検討が始まっている。社会防衛の向上を市場原理に任せるだけではなく、公的資金でも確保する。
 ◆コロナ禍で注目されたのが「感染症専門看護師」。現場を熟知し、専門知識・経験をいかしての、臨機応変な活躍が目覚ましい。ただ、専門看護師の育成には、個人・勤務病院の負担が大きい。育成が限られ、希少な人材である。安全な医療の向上に、奨学金・交付金など公的支援の充実が欠かせない。(翔)