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医師・医療関係者のみなさまへ

第155回エイジレス健康講座

府医ニュース

2023年8月2日 第3044号

高齢者のめまいをテーマに講演

 大阪府医師会・ATCエイジレスセンター実行委員会が主催する「エイジレス健康講座」が7月15日午後、同センター(大阪市住之江区)で開催された。第155回となる今回は、「高齢者のめまい」をテーマに大平真司・府医理事が講演。近隣住民など約70人が参加した。

 まず、大平理事はめまいとは、「自身が置かれている状況に対して、目や耳、足などの体のバランスと関係のある感覚器から得ている情報を大脳が不快に感じる場合に起こる感覚」と定義。その上で、▽耳からのめまい(外リンパ瘻、メニエール病、前庭神経炎など)▽脳からのめまい(脳出血、脳梗塞、聴神経腫瘍、髄膜腫など)▽全身の病気からのめまい(不整脈、高血圧など)――に分類し、それぞれの原因疾患について解説を加えた。一方で、めまいの約半数は良性発作性頭位めまい症(BPPV)であり、自然と軽快することも多く、生命に危険はないと語った。
 さらに、1カ月以上続く慢性的なめまい「持続性知覚性姿勢誘発めまい(PPPD)」では、発症原因にストレスが関与している可能性を示唆した。
 続いて、めまいの検査および治療について説示した。問診によって8割のめまいは診断ができるとしながらも、検査が必要になるケースもあると指摘。画像診断や心電図、超音波ドップラー検査などを紹介した。治療については、抗めまい薬や脳循環改善薬、抗不安薬などが使用されるほか、BPPVにおいては浮遊耳石置換法によって耳石を元の位置に戻す治療を行うこともあると述べた。
 最後に、実際のめまいの症例を示しつつ、めまいには安全なめまいと危険なめまいがあると強調。立ち上がれないほどの激しい回転性のめまいや、頭痛、強い吐き気、手足のまひなどの症状を伴うめまいが生じた場合は、「すぐに救急車を要請してほしい」と呼びかけた。
 講演終了後には質疑応答が行われ、参加者からの質問に大平理事が丁寧に回答した。