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医師・医療関係者のみなさまへ

調査委員会だよりNo.105

府医ニュース

2023年8月2日 第3044号

厚生労働省が政策として推進する〝医療DX〟の認知度は?
文 青山 さつき(寝屋川市)

 令和5年3月の調査委員会において、大阪府医師会員と大阪府民を対象に調査した「医療DXの認知度」に関する設問結果の比較検討を行った。
 設問内容は、医療DXの定義を説明し、国の政策として12年をめどに推進していることについて知っているかというものであった。「よく知っている・ある程度知っている」会員39.4%、府民13.2%に対して、「あまり知らない・全く知らない」会員60.7%、府民86.9%という結果で、医師会員でも60%以上、府民に至っては90%近くが認知していないという結果であった。男女差では両者ともに大差なく、府民では地域別での差も認めなかった。年齢別で見てみると「よく知っている・ある程度知っている」との回答は、会員では20代の16.7%から70代の52.2%と年齢が上がるごとに上昇しており、80代でも33.4%が「知っている」と回答していた。また、業務種別では診療所長38.8%、病院長51.5%、勤務医38.3%と病院長の認知度がやや高かった。
 これらの結果は、日々の診療においてオンライン資格確認をはじめ、様々な電子化の波が押し寄せてきている状況も大きな要因と考えられる。一方、府民では20代のみが26.9%で一番高く、30代から70代すべてで10%前後であった。
 府民を対象にマイナンバーカード取得状況と医療DX認知度とのクロス集計を行うと、「取得した・取得予定である」のうち、医療DXについて「知っている」のは合計13.1%であった。また、「取得しない・マイナンバーカードを知らない」の回答者でも合計13.7%が医療DXについて「知っている」と答えている。
 つまり、医療DXのとっかかりとなるオンライン資格確認のためのマイナンバーカード取得であるはずが、その理解がないままにカード取得の有無を決めている医療受給者が多い。一方で、理解して動き出している医療提供者と、大きな隔たりがあるので、その差を埋めるには丁寧な説明が必要と考えられる。