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医師・医療関係者のみなさまへ

第1回労災医療研修会

府医ニュース

2023年8月2日 第3044号

中高年労働者のアイフレイルなど解説

 大阪府医師会労災部会・産業医部会および労災保険情報センターが主催する令和5年度第1回労災医療研修会が6月30日午後、府医会館で開催された。ウェブとの併用により2題の講演が実施され、265人が受講した。
 山田義夫氏(府医労災部会副部会長)が座長を務め、はじめに加納康至同部会長(府医副会長)が開会あいさつ。新型コロナウイルス感染症の感染者が増加傾向にある中、発熱外来やワクチン接種、陽性者等への対応に謝意を示した。また、同部会は昭和62年4月の発足以来、労災診療の向上に努めており、本日の研修会が日常診療の一助になればと語った。
 講演では、大須賀翔氏(大阪医科薬科大学眼科学教室講師〈准〉)が「中高年労働者のアイフレイル」と題して登壇。アイフレイルは視機能の低下とともに、心理的・認知的のみならず社会的・身体的フレイルにも影響を及ぼすと前置き。そして、自立機能低下や日常生活が制限され、健康寿命の短縮につながると指摘した。加えて、アイフレイルと関連する代表疾患として、▽白内障▽緑内障▽網膜剥離▽加齢黄斑変性症――などを挙げ、原因や治療を詳説した。早期発見・早期治療により、視機能の回復だけではなく、健康寿命の増進につながる可能性があり、「産業医」「眼科医」「労災指定医療機関」で密に連携を図り、労働者の健康維持に努める必要があると語った。
 続いて、中島伸氏(大阪医療センター総合診療部長)が「頭部外傷後高次脳機能障害について――医療機関および職場における対応」をテーマに講演した。まず、頭部外傷後高次脳機能障害は、交通事故などによる頭部外傷の慢性期に起こると解説。記憶障害や注意障害などの「認知障害」、自発性の低下や易怒性がみられる「人格障害」が現れると述べ、家庭生活に支障を来したり、復学・復職が困難になると説明した。また、手足も健常者と同様に動き、話すことができるため、一見障害があるように見えないなどの特徴を提示。そのほか、具体的な症例を挙げるとともに、患者本人ができる対策などを紹介した。