
TO DOCTOR
医師・医療関係者のみなさまへ
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勤務医の窓
府医ニュース
2023年6月28日 第3040号
新型コロナウイルス感染症(COVID―19)の世界的パンデミックも終息へ向かい、我が国においても令和5年5月8日よりインフルエンザと同等の5類感染症へと引き下げられた。それに向け、行政側からの指針なども示され、今後はウィズコロナとして医療を提供していくことになっている。
当院においての役割は、地域に密着した最前線の病院として地域の患者さんをまず受け入れ、当院で可能なものは当院で速やかに診断・治療を行い、専門的な診断や治療が必要な場合は、大学病院などの高次医療機関へ紹介するなど、二次救急医療機関としての橋渡しをすることであると考えている。
このような思いでこの3年あまり、コロナ陽性患者さんの受け入れを行い、所属やポジションにより関わりに濃淡はあれ、お互い協力し合い、時には鼓舞し合って、WBCの選手達のように職員一丸となって新興感染症と戦った。これにより所属を超えたチームワークが生まれるという副次効果もあった。
当院がある平野区は、大阪市内で最も高齢者人口が多く高齢者施設も増え続けている地域であり、必然的にその中心は地域の高齢者を対象とした医療となってくる。弱毒化し、健康な若い人達にはさほどの脅威でなくなった新型コロナであるが、合併症の多い高齢者には今後も注意が必要である。高齢者医療の特徴として、人生の最終段階は可能な限り住み慣れた地域での加療を望まれ、どの程度までの医療を希望されるのかが症例の個々により違ってくることが挙げられる。これに対応するためには、ACP(アドバンス・ケア・プランニング/人生会議)の啓発とそれに沿った医療提供体制の確立が求められる。今後は、病院や開業医の先生、周辺の高齢者施設の垣根を越えた地域全体でのコミュニケーションやチームワークが必要となってくる訳である。
新型コロナの到来により、ウェブ会議が急速に広まり随分と身近なものとなった。それに伴い、我々の勤務医部会の常任委員会でもウェブ会議を取り入れることとなった。人生会議においてもウェブでの開催が主流になり、活発な議論や迅速な対応が展開されることを望む。
長吉総合病院長
大谷 健二郎
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