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梅雨葵

府医ニュース

2023年6月28日 第3040号

 庭の立葵の花。今年はなかなかてっぺんまで伸びてこない。
 10年ぶりの早い梅雨入りとともに、早めの開花だった。
 立葵は、アオイ科の多年草。茎が高さ1~2㍍ほどに真っすぐ伸び、赤や紫、白、ピンクなど、さまざまな大輪の花を開かせる。梅雨入りと同時に、花が下から咲き上っていく。上まで咲くと梅雨明けといわれ、「梅雨葵」の別名もある。
 すでに暖かい6月だが、梅雨前線や台風2、3号の影響で、曇りや雨が多く、肌寒く感じる日もある。新型コロナウイルス感染症やインフルエンザともに陰性でも、発熱や咳、喉の痛みなどの症状の方が多い。
 薄紅立葵は、英語でマーシュマロウ(沼地の葵)といい、お菓子のマシュマロの原料とされていた。もともと古代エジプトでは、根に含まれる多糖類から抽出した粘液質をのどの痛みをやわらげる薬にしていたが、それに砂糖、香料、卵白などを加え、植物名そのままのお菓子となった。のどの痛みをやわらげたり、胃腸をいたわったりするためにつくられたお菓子だったそうだ。現在は、ゼラチンを用い、名前だけが残っている。また、学名Althaea roseaのAlthaeaの語源は、古代ギリシャ語のalthaino(治療)。当時から薬効があると考えられていたことが分かる。
 庭の立葵は、炎天でも、激しい雨の中でも、凛と伸びている。深紅の花を、少しずつ上へと花を咲かせ、夏の到来を感じさせてくれる。
立葵
  咲き終りたる
      高さかな
高野素十
(颯)