
TO DOCTOR
医師・医療関係者のみなさまへ
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府医ニュース
2023年6月28日 第3040号
◆19世紀、ドイツの病理学者ルドルフ・ウィルヒョウは動物由来の感染症を「ズーノーシス(人獣共通感染症)」と称し、すでに医学と獣医学を一体として対応する必要性を提言していた。実際、ヒトで流行する感染症の60%はズーノーシスとされる。
◆現在では、人間と動物、環境(生態系)の健全性を包括的に捉える「ワンヘルス」という考え方がある。今世紀になり、SARS(重症急性呼吸器症候群)やエボラ出血熱など、次々に新興・再興感染症が世界各地で出現し、遂に新型コロナウイルス感染症はパンデミックを引き起こし、改めてこのワンヘルスが注目されることになった。
◆ズーノーシスに加えて、それに深く関わる自然破壊や地球温暖化、さらには医療および家畜生産現場由来の薬剤耐性菌といった課題解決にワンヘルスのアプローチが必須である。
◆世界は今、アイデンティティのために分断して争っている場合ではない。世界のワンピースのために、国境のないワンワールドで、ワンヘルスに取り組むことを優先すべき時である。(誠)