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こども家庭庁の発足

府医ニュース

2023年4月19日 第3033号

こどもまんなか社会の実現

 令和4年6月15日、「こども基本法」および「こども家庭庁設置法」が第208回通常国会で成立し、今年4月1日から施行となった。「こども庁」から「こども家庭庁」への名称変更には旧統一教会の要望があったとするいわくつきであったが、少子化対策の重要な第一歩である。
 「こども基本法」は日本国憲法と国連の「子どもの権利条約」に基づいて、すべての子どもの人権と福祉を保障する総合的な法律であり、「子どもの権利条約」の四つの原則、すなわち①差別の禁止②子どもの生命、生存および発達に対する権利③子どもの最善の利益優先④子どもの意見の尊重(意見を表明し参加する権利)――を担保するとともに、⑤子どもの養育は家庭が基本との認識の下、子どもを養育する父母や保護者の支援⑥子育ての喜びを実感できる社会環境整備――の六つを掲げている。
 「こども家庭庁」は内閣府の外局で、長官をトップに、長官官房、成育局、支援局の1官房2局体制で、長官には厚生労働省子ども家庭局長を歴任した渡辺由美子氏が就任。職員は約400人体制でスタートした。
 長官官房は企画立案・総合調整部門で、各府省庁の子ども政策を一元管理し、デジタル庁との連携で子どもの家庭環境・支援内容のデータベース化を行う。成育局は保育所と認定こども園、認可外保育施設を管轄する。幼稚園との一元化はなされず、文部科学省との連携が求められる。支援局は虐待防止対策課、家庭福祉課(ひとり親家庭、子ども貧困対策、低所得者の子育て支援、児童手当)、障害児支援課を管轄している。子どもの育ちを支えるには親の働き方改革も重要で、仕事と育児の両立を図るには厚労省との連携も必要である。
 当面の焦点は、今年秋までに策定される「こども大綱」であり、これは小倉將信少子化担当大臣が進めており、総理を長とするこども政策推進会議(こども未来戦略会議)が案を出し、閣議で決定される。これには、少子化対策、子ども貧困対策、子ども・若者育成支援など既存の三つの大綱を含み、さらに子どもや子どもを養育する者の意見を取り入れ、「こどもまんなか社会」の実現に向けた道筋を示すことが求められる。
 こども家庭庁のホームページでは、「こども若者★いけんぷらす」を設置し、小学1年生からおおむね20代の若者のいろいろな意見を求めている。貧困家庭ということで進学に関する悩みを持つ女子生徒や、ほかにも様々な意見が寄せられている。これらの「声」を政策に生かし、「こどもまんなか社会」を実現し、充実した子育て支援対策がなされ、子育てがしやすい社会の実現を目指してほしい。
参考:毎日新聞(5年3月31日)朝刊