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府医ニュース
2023年4月5日 第3032号
大阪府医師会学校医部会(部会長=中尾正俊・府医副会長)は、大阪市保育・幼児教育研修センターとの共催により、令和4年度「就学前児保健研修会」を同年12月21日午後、府医会館で開催。本研修会は園医および市内の就学前施設を対象に実施しており、60人が受講した。
木野稔氏(同部会就学前児保健委員会委員長)が座長を務め、森口久子・同部会副部会長(府医理事)があいさつ。新型コロナウイルス感染症が広がる中でも就学前施設関係者は乳幼児との密接な距離が避けられない状況であるが、エッセンシャルワークとして業務に邁進する姿に謝意を表した。また、府医は「保育」を社会経済活動にとって欠かせない存在に位置付け、ワクチンの優先接種などを行政へ進言しており、今後も支援を継続すると強調した。
引き続き行われた講演では、杉原昭氏(同部会常任委員)が、「乳児・幼児のスキンケア:アトピー性皮膚炎を中心に――外用剤を擦り込んでいませんか?」と題して登壇した。まず、アトピー性皮膚炎は「増悪・寛解
を繰り返し、痒みを伴う疾患」と定義。IgE抗体を産み出しやすい体質の者に症状が現れ、気管支喘息や食物アレルギーなどへの誘発因子になると示し、0歳児は2カ月、それ以上の月齢は6カ月程度症状が緩和されない場合に慢性疾患と見なすと述べた。
また、治療は保湿剤や内服薬があるものの、「基本は外用剤」だと強調。1円硬貨を目安に約0.5㌘を「皮膚に乗せるイメージ」で塗布するよう求め、保護者には、家庭内で朝夜1日2回の対応を指導してほしいと促した。
そのほか、汗には保湿や抗菌の作用がある一方で、皮膚炎を悪化させる可能性があると指摘。シャワーなどで洗い流し、清潔な状態を心がけるよう訴えた。
最後にスキンケアについて触れ、こすらずに優しく洗浄して皮膚のうるおいを保ち、湿疹を起こさないようアドバイス。アレルゲンに対するバリア機能を維持し、ストレスや不快感を低減させてもらいたいと結んだ。
その後、7グループに分かれてグループディスカッションを展開。現場で起こっている多種多様な問題や課題について、医師と保育士・幼稚園教諭が同じ目線で討論し、その結果を発表した。
本研修会と同様の取り組みが、府内でも行われている。枚方市では3年から、高槻市でも4年から開始し、地元の就学前児施設職員と医師が一緒に学ぶ機会を持っている。特に施設職員と医師がグループに分かれ、テーマを決めて意見を交わす機会は、互いの理解を深めると現場からのニーズも大きい。府医としても、より多くの地区医師会に開催を呼びかけていく方針である。