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令和4年度「皮膚の日講演会」

府医ニュース

2022年12月28日 第3022号

「にきび」「アトピー」をテーマに講演

 大阪皮膚科医会(磯ノ上正明会長)は11月3日午後、令和4年度「皮膚の日講演会」を開催。本講演会は「皮膚の日(11(いい)月12(ひふ)日)」に合わせて毎年行われており、今年度は新型コロナウイルス感染症の影響により前年度に引き続き、動画投稿サイト・ユーチューブによるライブ配信で実施された。
 冒頭、磯ノ上会長があいさつ。今回の講演のテーマである「にきび」「アトピー」は、医療の進歩により治療成績が大幅に改善したと強調した。一方で、治療には時間を要することもあり、「焦らないこと」「諦めないこと」が重要と述べ、本日の講演が皮膚疾患で悩む患者の一助になればと期待を寄せた。
 講演では、まず黒川一郎氏(明和病院皮膚科部長・にきびセンター長)が「にきびはきれいに治しきり、美しい肌へ」と題して講演。一般的ににきびと呼ばれる尋常性ざ瘡について、昔は生理的な現象で病気ではなく治療が積極的に行われていなかったが、放置すると痕が残り、元の肌状態に戻すことが難しいと説示した。そのため、早い段階で治療を行い、できるだけ痕を残さないことが大切であると語った。その上で、にきびの種類や原因、治療薬などについて解説し、にきび治療は皮膚科専門医の受診が肝要とまとめた。

治療、劇的に変化 諦めないで継続を

 続いて、大塚篤司氏(近畿大学医学部皮膚科学教室主任教授)が「アトピーはきっと良くなる」と題して講演。大塚氏は、アトピー性皮膚炎によく似た病態として、▽リンフォーマ(悪性リンパ腫)▽膠原病▽疥癬――を挙げ、それぞれ治療方針が異なるため自己判断をせず、専門医の診断を受けるよう促した。アトピー性皮膚炎の治療としては、ステロイド外用薬が基本であると言及。正しく使用すれば決して危険な薬ではないと強調したほか、ステロイド外用薬で症状が改善しない最重症のアトピー性皮膚炎には新薬を検討すると加えた。
 最後に、アトピー性皮膚炎の治療は、新薬の登場などこの数年で劇的に変わってきていると述べ、「きっと良くなる」ので、諦めずに治療を継続してほしいと締めくくった。