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続・校正という仕事――校正と医療

府医ニュース

2022年12月28日 第3022号

 前回の私の担当の本欄、「校正という仕事」(本紙第3019号/11月30日付)で、校正者がその仕事について記した「文にあたる」(牟田都子著/亜紀書房)という本を紹介しました。
 この本の中で著者が失敗(この場合は校正者の見落としによる誤植)について述べている部分が特に印象に残りました。誤植はなくて当たり前とされ、あれば読者からクレームが来る、校正は常に完璧(誤植が一つもないこと)を求められていると。
 読みながら、私は医療におけるミスについて考えました。医療においてもミスはなくて当たり前とされ、常に完璧を求められています。一見無関係と思えた校正と医療に共通点がありました。著者は、校正者がベテランであっても、また、自分が得意だと思っている分野についての本でも見落とすことはあると述べていますが、医療の場合も同様の可能性を含んでいます。
校正の見落としを防ぐ工夫として、「複数人でのチェック」「失敗事例の共有」「思い込みや先入観を排する」などが挙げられていますが、それは医療でのミスを防ぐ工夫とも共通します。
 医療においては、場合によってはミスが重大な結果を招く可能性があります。個々人が細心の注意を払うことは当然ですが、それでも「ヒトは間違うことがある」という前提に立って、誰かが間違えてもチェックされ、修正される仕組みをアナログもデジタルも動員してシステムとして作ることが重要と思います。(瞳)