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医師・医療関係者のみなさまへ

トリアージタグを用いて実技訓練

府医ニュース

2022年12月21日 第3021号

令和4年度第1回災害医療基礎(初級)研修会

 令和4年度第1回災害医療基礎(初級)研修会が11月17日午後、大阪府医師会館で開かれた。講演および実技講習としてトリアージ訓練を実施。医師・看護師ら40人が受講した。
 冒頭、鍬方安行理事があいさつ。災害発生の際には、第一線で診療所機能を発揮できる体制を確保したいとし、本研修会が災害医療の一助になればと期待を寄せた。
 はじめに、藤見聡氏(大阪急性期・総合医療センター救急診療科主任部長)が「知っててよかった災害医療の基礎知識」と題して講演した。藤見氏は、災害医療と救急医療は「緊急対応が要求される」という点では類似しているものの、災害時には「最大多数の負傷者に最良の結果が求められる」と強調。医療の最終目標が救急医療とは異なると述べた。その上で、災害を自然災害・人為災害に区分。いずれの場合も対応方法の根幹は同じであり、基本的な知識に加えて柔軟な発想と普段からの備えが重要と説いた。
 次いで、松田宏樹氏(厚生労働省DMAT事務局)が「災害時における市区町村保健医療活動について」と題して登壇。熊本地震、大阪北部地震、西日本豪雨災害の経験を踏まえた災害医療現場の状況を報告した。まず、東日本大震災の教訓から、災害医療コーディネーターが創設され、広域災害救急医療情報システム(EMIS)により避難所情報まで集約されるようになったと言及。災害医療が標準化され、J―SPEEDによって「医療ニーズの見える化」が進んだと語った。
 後半はトリアージタグを用いて「トリアージ訓練」を実施。大阪急性期・総合医療センターから招いたインストラクターの指導の下、グループに分かれて実技に臨んだ。会場では、人形を被災者に見立て、災害現場さながらに熱のこもった訓練が繰り広げられた。