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府医ニュース
2022年11月2日 第3017号
11月5日は、「津波防災の日」。
日本では、2011年6月、東日本大震災の津波被害に対する「津波対策の推進に関する法律」が制定され、その中で定められた。さらに、2015年、第70回国連総会本会議で「世界津波の日」と採決された。
1854年の安政南海地震による大津波が広村(現在の和歌山県広川町)で発生した際の「稲むらの火」の逸話にちなんでいる。地震の後に押し寄せてきた津波に対し、濱口梧陵は、自らの収穫した稲むらに火をつけることで村人を避難させ、命を救った。現・ヤマサ醤油の濱口家の七代目当主にあたる人物だ。濱口の手記には安政南海地震の救助の様子が記されている。七ツ時頃(午後四時)大地震があり、村内を巡視。「巨砲の連発するが如き響」が聞こえ、突然津波が押し寄せてきた。日が暮れた闇の中で逃げ遅れた村人を高台へ導くために、稲むらに火を放ったとされる。その後4年の歳月をかけ、私財を投じ「広村堤防」を築き、1946年昭和の南海地震津波から住民を守ることにつながった。
この逸話を、ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)は、「A Living God」としてアメリカの雑誌に1896年発表。それを読んだ和歌山県の小学校教師・中井常蔵は、幼い頃から知っていたが、改めて郷土の偉人に深く心を打たれ、文部省教科書用資料に投稿、「稲むらの火」として、教科書に掲載された。
津波だけではなく、災害の発生早期の対応や情報の共有、そして、後の世代へつないでいく重要性を知る日でもある。
(颯)