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時事

「健康日本21(第二次)」最終評価報告書が公表

府医ニュース

2022年11月2日 第3017号

次期プランの検討も始まる

 10月11日、厚生労働省から「健康日本21(第二次)」最終評価報告書が公表された。第三次国民健康づくり対策に位置付けられる「健康日本21(二十一世紀における国民健康づくり運動)」は平成12年に開始され、一次予防の重視等を基本方針としていた。25年からの健康日本21(第二次)では、健康寿命の延伸と健康格差の縮小を最終的な目標とし、計画期間は昨年に1年延長されて、令和5年度までとなっている(次期プランを医療費適正化計画等の期間と一致させるため)。なお、最終評価の実績値には、国民健康・栄養調査等が、2・3年度はCOVID-19感染拡大のため中止となったことなどから、同感染症の影響を受ける前の元年までのデータが用いられている。
 評価は5分野(健康寿命と健康格差/生活習慣病/社会生活/社会環境/生活習慣)の計53項目について、策定値のベースライン(平成22年)と比較している。A[目標到達]:8項目(15.1%)、B[改善傾向]:20(37.7%)、C[不変]:14(26.4%)、D[悪化]:4(7.5%)、E[調査中止などで評価困難]:7(13.2%)との結果で、改善傾向以上が52.8%と、過半数を占めている。
 Aと判定された8項目は、▽健康寿命(日常生活に制限のない期間の平均)の延伸▽75歳未満のがんの年齢調整死亡率の減少▽脳血管疾患・虚血性心疾患の年齢調整死亡率の減少▽血糖コントロール不良(HbA1cのNGSP値が8.4%以上)者の割合の減少▽小児人口10万人当たりの小児科医・児童精神科医師の割合の増加▽認知症サポーター数の増加▽低栄養傾向(BMI20以下)の高齢者の割合の増加の抑制▽共食の増加(食事を1人で食べる子どもの割合の減少)――であった。
 一方、Dとされたのは、▼メタボリックシンドロームの該当者および予備群の減少▼適正体重の子どもの増加▼睡眠による休養を十分とれていない者の割合の減少▼生活習慣病のリスクを高める量を飲酒している者の割合の減少――であった。
 COVID-19との関連では、まとめにおいて、感染拡大を機に健康格差が拡大しているとの指摘もあるとしている。
 すでに9月26日には、次期国民健康づくり運動プラン(令和6年度開始)策定専門委員会の第1回会合が開催され、来年春をめどに次期プランを公表、来年度中に都道府県の健康増進計画を策定、とのスケジュールが示されている。
 次期プランはビジョンを「すべての国民が健やかで心豊かに生活できる持続可能な社会の実現」として、①誰一人取り残さない健康づくり(Inclusion)、②より実効性を持つ取り組み(Implementation)――を掲げた。目標設定の議論とあわせ、目標値への到達を確実に評価できるよう、ベースライン値と目標値の時期の見直しも検討されている。
 今回の報告書には、全国4紙の記事掲載件数を調査し「健康日本21(第二次)開始後は、ほぼ見出しとして取り上げられていない」との記載がある。最終評価の公表も同様の扱いだったことに、一抹の寂しさも感じる。(学)