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医師・医療関係者のみなさまへ

医療問題研究委員会 宮川理事が講演

府医ニュース

2022年11月2日 第3017号

新型コロナ第8波への体制を

 令和4年度第2回医療問題研究委員会が10月12日午後、大阪府医師会館で開催された。今期(4・5年度)委員会は全15回の開催を企画しており、前半は府医役員による講演、後半は委員(58人)が5グループに分かれて討議を行い、順次プレゼンテーションを行う予定である。

 当日は、栗山隆信理事が司会を務め、宮川松剛理事が「新型コロナウイルス感染症対策――医師会の対応を中心に」をテーマに登壇した。講演の冒頭、自身も本委員会の第1・3期生であることを前置き。これまでの新型コロナに係る医師会活動を振り返るとともに、今後の取り組むべき対策などを示した。
 はじめに、7月22日に厚生労働省が発信した事務連絡「オミクロン株のBA・5系統への置き換わりを見据えた感染拡大に対応するための医療機関・保健所の負担軽減等について」に言及した。「発生届出および健康観察」の簡略化により、保健所の負担は軽減する一方で、新規陽性者の全数把握が無くなることを問題視。逆に陽性者の外来対応で医療機関の負担が増大することが予想されたと述べた。
 続いて、これまでの新型コロナを巡る府医の活動を詳説した。令和2年1月29日に府内で新型コロナ第1例患者が確認された翌日に、「新型コロナウイルス対策本部」を会内に設置。また、2月4日には研修会を開催し、当時大阪大学大学院医学系研究科感染制御学教授であった朝野和典氏を講師に招聘し、800人を超える参加者に現状とその対応策を伝えた。その後も記者会見を随時開催し、在阪のテレビ・新聞社等に対して医師会からの情報発信に積極的に努めたと述べた。
 さらに、個々の対応として、▽宿泊施設・PCR外来・ワクチン接種への出務▽「新型コロナウイルス感染症対策検証専門委員会」の設置▽日本医師会・厚労省への照会・要望▽診療・検査医療機関指定の協力要請▽自宅療養者への対応▽感染区域で従事する医師・看護師の養成研修――など、大阪府・市や関係団体と連携し、きめ細やかな活動をしてきたと報告。特に感染症法上の「診療・検査体制に係るフロー」では、保健所機能を維持することを重視したと加えた。そのほか、医療従事者が執務する際の「補償」に関しても、法的根拠を示しながら行政との交渉を進めたと語った。

医療機関をしばる感染症法改正を危惧

 世間では診療所の対応不足を訴える声もあるが、第6波・第7波における「コロナの検査・治療の公費請求件数」を見れば診療実績は明らかで、責務を十分果たしていると力説した。しかしながら、大阪府が「第7波で診療・検査医療機関に未指定の病院が3割以上、診療所が7割以上ある」という実態が十分に反映されたとは言い難いデータを、政府「新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(本年8月18日)」に提出したと問題視。今後、感染症法等の改正が予定される中で、病床や外来医療の確保等に行政が強い権限を持つことを危惧した。

発熱患者に対する抜本的な体制を要請

 府医は、大阪府に対して発熱患者が急増した際の受け皿となる「大阪府・大規模発熱外来センター(仮称)」の設置を要請していることを言明。医師会および大学より医師派遣を行うことを想定していると説示した。
 最後に、西浦博氏(京都大学大学院医学研究科・環境衛生学教授)とは定期的に新型コロナの勉強会を行っていると紹介。前日に開催した会で西浦氏から、現在ドイツ・ベルギーをはじめEU諸国で感染者数が増大しており、日本も「第8波の入口にある」との認識が示されたとし、注意を呼びかけた。