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府医ニュース
2022年10月26日 第3016号
現代を舞台にしたドラマを作る時、リアルにコロナ禍を描くのは難しいと思われます。今夏NHKの夜の連続ドラマ枠で放送された「あなたのブツが、ここに」(脚本・櫻井剛、全24話)は、コロナ禍を必死に生きる普通の人々をリアルに描いた、私が知る限り初めてのドラマでした。俳優さん達は全員マスク姿でした。
何となく見始めたのですが、引き込まれました。主人公・山崎亜子(仁村紗和)は、「夜間営業の飲食店」で働きながら、ひとり娘を育てているシングルマザー。コロナ禍で収入が激減した上に給付金詐欺にあいます。そこで、尼崎でお好み焼き屋をやっている実母のところに身を寄せ、外出規制で需要が増えた宅配便のドライバーに転職します。
亜子は、配達先で様々な個性の強い人達に出会います。コロナの媒介者とばかりに「しっ、しっ」とする人、認知症、不登校、クレーマー等々。始めは戸惑う亜子ですが、回を重ねるうちに次第にドアの向こうにそれぞれの生活があることに気付き、心を通わせていきます。日々、様々な個性と生活背景を持った患者さん達と接する私達の仕事にも通じ、「わかる!」と思いました。
忙しさのピークの時に社長がコロナに罹り、他のドライバーが事故を起こし、おまけに元夫が金の無心に現れ、といろいろなことが起こりますが、周囲の人達と一緒に乗り越えていきます。
最終回、転職から約1年半経ち、新人の教育係になった亜子は、仕事が上達するコツを聞かれ、「毎日やんねん(やるの)」「雨が降っても、雪が降っても、コロナが来ても」。不覚にも涙が出ました。新人ではありませんが、自分にもエールをもらった気がしました。
(瞳)