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医師・医療関係者のみなさまへ

調査委員会だより No.96

府医ニュース

2022年10月5日 第3014号

マイナンバーカードによるオンライン資格確認を府民はどう考えているのか  文 大西 恭子(高槻市)

 マイナンバーカードによるオンライン資格確認の運用は、令和3年10月から開始されていますが、総務省データでは4年4月時点での普及率は、全人口の43%、健康保険証として利用申し込みを行った方は14.5%です。また、5月時点で「顔認証付きカードリーダー」を申し込んだ医療機関は、診療所45.9%、病院78.9%であり、運用開始施設は診療所13%、病院35.5%に過ぎません。そのような状況にもかかわらず、政府は骨太の方針2022で、唐突に5年4月からオンライン資格確認システムの導入を「原則義務化」とし、6年度中を目途に保険者による保険証発行の選択制の導入を目指す方針を示しました。
 それに先立ち、調査委員会が4年3月末に行った「今後の医療体制に関する府民調査」(20~79歳の1200人を対象にしたインターネット調査)の結果を報告します。
 マイナンバーカードを用いたオンライン資格確認の認知度は全体で41%であり、マイナンバーカード保有者においても認知度は44.7%でした。調査対象者で「実際に使用経験有り」は6.2%、「保有していても医療機関未対応」が6.5%でした。健康保険証の代わりにマイナンバーカードを使うことに対しては、全体では「マイナンバーカードを使いたい」が26.8%、「これまで通り健康保険証を使いたい」が43.1%、「どちらとも言えない」が30.1%でした。マイナンバーカード保有者に限っても「マイナンバーカードを使いたい」が34.5%、「保険証を使いたい」が33.3%でした。
 今回の調査対象のマイナンバーカード普及率は67%であり、総務省データの43%に比べると約1.5倍であり、ICTに関心がある母集団であると考えられるにもかかわらず、オンライン資格確認の認知度やマイナンバーカードの使用希望も少数であった。マイナンバーカードの健康保険証利用が国民に普及していない段階で、オンライン資格確認システムの原則義務化と導入を進めていくためには国民や医師への丁寧な説明が必要ではないでしょうか。