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医師・医療関係者のみなさまへ
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府医ニュース
2022年9月21日 第3012号
大阪府医師会・歯科医師会・薬剤師会の役員による懇談会が8月18日夕刻、ウェブ会議方式で行われた。今回は新型コロナウイルス感染症をテーマに討議。府民の健康を守るため協働を誓った。
栗山隆信・府医理事の司会で開会し、はじめに各会長があいさつ。茂松茂人・府医会長はコロナ禍で災害・感染症に脆弱な体制が浮き彫りになったとし、三師会の連携が一層重要になると語った。深田拓司・府歯科医師会長も府民のために結束することが重要だと強調。乾英夫・府薬剤師会長は、三つの団体が協調して地域医療に貢献することが大切だと訴えた。
中尾正俊・府医副会長が座長を務め、忽那賢志氏(大阪大学大学院医学系研究科感染制御学教授)が、「COVID―19アップデート」と題して講演した。忽那氏はまず、新型コロナウイルスワクチンに触れ、mRNAは初期のウイルス(武漢型)がベースであり、「変異株による感染予防効果は薄い」と述べた。一方で、「重症化予防効果は維持されている」と明言。医療従事者においては、感染の流行時に抗体価がピークとなるよう接種することが望ましいとした。また、高齢者や基礎疾患のある人の4回目接種は、感染予防よりも「重症化予防が目的」との考えを示した。
次いで新型コロナ第7波の現状を説明。8月18日時点では世界で最も感染者数が多い状況が続いていると伝えた。その上で、現在はオミクロン株の亜系統であるBA・5が主流だとし、その特徴を説示。鼻水、のどの痛み、咳の頻度が高く、若年者ほど発熱症状が見られると加えた。さらに、海外では「再感染例も多い」ことを挙げ、注意を促した。
続いて、治療法に言及。時期や重症度に応じた選択がなされるとし、初期段階で用いられる抗ウイルス薬に関する留意点を解説した。そのほか、医療現場での感染対策を提示。負担の少ない方法が提唱されつつあるものの、ピーク時には不安も残ることから、長期的な視野での検討を呼びかけた。
参加者らによる意見交換後、高井康之・府医副会長が閉会あいさつ。今後も三師会が力を合わせて難局を乗り越えていきたいと締めくくった。