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ロンドン橋作戦

府医ニュース

2022年9月21日 第3012号

 エリザベス女王が9月8日、96歳で崩御された。在位期間はイギリス君主として最長の70年余、世界史上ではフランスのルイ14世(在位期間72年余)に次ぐ第2位である。
 「ロンドン橋作戦」とは、女王の崩御から新王の就任に至るまでの一連の行動計画の名称で、1960年頃から内密に準備され、女王自身も策定に参画されていたそうだ。日々の報道で、海外からの弔問客の確定など葬儀に至る進捗の迅速さに驚いていたが、このコードネームを知り納得した。
 小筆は1975年の来日時のニュース映像がとても印象に残っている。優しく知的な眼差し、魅力的な笑顔、思慮深く、時宜に適ったステートメントの数々、多くの英国民が精神的な支柱と感じるのも宜なるかなと思う。
 崩御を知って涙した人は、実に英国国民全体の44%、65歳以上の女性に限ると55%にもなるらしい。悲嘆に暮れる一方で、長年の在位に対する感慨や感謝の念も強く、棺を見送る沿道では時折、拍手が起こるとのこと。
 女王は実に2日前の9月6日、首相の任命を行っているが、わずか48時間後に女王の秘書から電話で「ロンドン橋が落ちた」と告げられたトラス新首相はさぞかし驚いたことだろう。王や女王を含め「国葬は必ず英国議会を通して実施に至る」が、政治家の場合、その上に本人の意思が尊重される。生前の打診に快諾したチャーチル元首相は国葬となったが、対照的にサッチャー元首相は「国論を二分したくない」と辞退された。
 エリザベス女王の葬儀は9月19日ロンドンのウェストミンスター寺院で行われる。(猫)