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時事
府医ニュース
2022年8月17日 第3009号
7月25日、厚生労働省「健康増進に係る科学的な知見を踏まえた技術的事項に関するワーキング・グループ(WG)」の第4回の会合が開催された。このWGは、令和6年度に向けての「第4期特定健診・特定保健指導の見直しに関する検討会」の下に設置されている。
今回の会議では、現行第3期(平成30年度から6年間)で随時採血が認められたことから、中性脂肪についても基準値を定めるべく、保健指導判定値は、これまでの空腹時 150㎎/dlに加えて、随時(食後3.5時間以上)175㎎/dlが、また、受診勧奨判定値については、随時も空腹時と同じ、300㎎/dlが提案された。一方で、HDLコレステロールについては、受診勧奨判定値を設定しないこととした(現在は34㎎/dl)。
特定健診の判定値はすぐに変更することが難しい。他方、学会ガイドラインは随時更新される。医療現場はガイドラインに則って治療を行うため、その齟齬を埋めるために「フィードバック文例集」が作られている。例えば血圧値が、130mmHg≦収縮期血圧<140mmHgまたは85mmHg≦拡張期血圧<90mmHgの場合、「今回、あなたの血圧値は正常ですがその中では高め(正常高値)の範囲でした。この血圧レべルの人は、望ましい血圧レべル(収縮期血圧120mmHg未満かつ拡張期血圧80mmHg未満)の人と比べて、約1.5~2倍、脳卒中や心臓病にかかりやすいことが分かっています。血圧を下げるためには……(略)等、生活習慣の改善が必要となります」という具合である。しかし、医療現場への周知が徹底されていないことから、産業医との面談で受診勧奨不要と言われたにもかかわらず、保険者から受診勧奨判定値に該当するので医療機関受診を勧められたという事例が多くあり、トラブルになっているとのことである。今回、医療関係者への情報提供を目的とした、医療機関持参用文書のイメージが提示された。
なお、前回までの会議において、質問項目に関し、喫煙および飲酒量については、より選択肢を増やして具体的に尋ねるとともに、保健指導については「受ける機会があれば利用しますか」から「受けたことがありますか」に変更することとなっている。
特定保健指導の議論は「効率的・効果的な実施方法等に関するWG」で行われており、実施方法の見直しでは、(1)アウトカム評価の導入(主要達成目標は腹囲2㎝・体重2㎏減)、(2)見える化の推進、(3)ICTの活用――が柱となっている。そして、実施率の目標は今期同様、①特定健診実施率:70%以上②特定保健指導実施率:45%以上③メタボリックシンドロームの該当者と予備群の減少率:25%以上とされた。
ちなみに、この6月に公表された令和2年度の結果は、①53.4%②22.7%③10.9%となっており、先は遠い。しかも、①②はこれまで概ね年々上昇していたものが、3年度前に戻った数値であり、③は過去5年で最小となっていた。ここでも、COVID-19感染拡大の影響が、色濃く見られている。(学)