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医師・医療関係者のみなさまへ

往診チーム「KISA2隊大阪」が来館

府医ニュース

2022年5月25日 第3001号

高齢者施設のクラスター対策に支援を

 新型コロナウイルス感染症のオミクロン株による第6波では、軽症・中等症患者の割合が多く、自宅療養者や入院・宿泊待機者は全国で27万9千人(5月11日現在)を超えている。大阪では、昨年の第5波から500を超える医療機関が電話・オンラインによる診療で対応してきたが、症状急変時など往診が必要な患者も少なくない。
 そのような中で、大阪市内において6診療所で組織する診療チーム「KISA2(きさつ)隊大阪」(代表:小林正宜・葛西医院長)が、昨年9月から市保健所からの依頼の下に往診などを開始。今年の4月には小児科診療所を含む10診療所にまで活動を拡大している。
 4月6日午後、小林代表らが大阪府医師会に来館し、茂松茂人会長・宮川松剛理事に現状を報告するとともに今後の課題へのサポートを求めた。小林氏は、まず同チームの往診実績(令和3年9月~4年3月)を説示。依頼のあった件数は404人(往診283人・オンライン診療121人)にも及び、コロナ療養後や宿泊療養待機中の患者へのフォローアップ実績は1641回を数えると報告。なお、大阪市内をカバーしていた同活動は、セミナー等でチームの活躍を知った同志の医師らが、八尾市・兵庫県・滋賀県・奈良県・秋田県・埼玉県・大分県の地域でも活動を開始していると力を込めた。

高齢者対策に注力 特別チームを編成

 なお、今後は「高齢者にフォーカスした感染対策支援」を進めたいと強調した。第6波でも問題となっている高齢者施設のクラスター対策が今後のカギと力説。看護師・介護福祉士・薬剤師などの多職種と連携して、「特別プロジェクトチーム」を編成し、今年の2月から3月下旬までの期間で33施設を訪問し、抗体療法を302人に実施したと詳述した。
 また、「感染者のいない高齢者施設の感染予防への支援」をしっかり講じることも重要と言及。施設クラスター対策では、市保健所や掛屋弘・大阪公立大学大学院医学研究科臨床感染制御学教授とミーティングを行い、大阪市で各機関がワンチームとして支援する構想を検討していることも明かした。さらに、小林氏は自宅や介護施設での安全な療養には介護福祉士の力が必須と指摘。介護事業所・施設の感染者対応能力を高める支援として、▽医療職から介護福祉士への指導▽施設内での知識共有・意識向上▽感染対策に強い介護福祉士から介護の工夫の伝授――を提案した。
 茂松会長は、今後は新型コロナ対応だけでなく介護の方にも目を向けてほしいと要請。地域の診療所で往診対応等が難しい部分を、在宅医療チームと連携を図ることで補い合い、医療提供体制の拡充を図っていきたいと締めくくった。