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時の話題
府医ニュース
2022年5月4日 第2999号
現在、厚生労働省において令和6年度からの第8次医療計画等に関する検討会が行われている。医療法改正により、次期医療計画の記載事項に「新興感染症等の感染拡大時における医療」が追加されることになっている。「厚生科学審議会感染症部会」における感染症法に基づく基本指針・予防計画等の議論と整合性を図りながら記載事項について検討される。具体的には、感染拡大時に迅速かつ柔軟に病床や人材の確保ができるよう、平時からの取り組み、感染拡大時の取り組みに関し、「全体像」「保健・医療提供体制確保計画」等に基づくこれまでの取り組みを踏まえ、必要な対策を検討する。
政府としては、これまでの対応を客観的に評価し、次の感染症危機に備え、本年6月を目途に、危機に迅速・的確に対応するための司令塔機能の強化や、感染症法の在り方、保険医療体制の確保など、中長期的観点から必要な対応を取りまとめることとしている。また、本年度中に、厚労省において「基本方針」(大臣告示)や「医療計画作成指針」(局長通知)等の見直しが行われ、5年度中に各都道府県は、医療計画を策定する。
医療計画への具体的な記載項目は、「平時からの取り組み」として、感染拡大に対応可能な医療機関・病床等の確保(感染拡大時に活用しやすい病床や転用しやすいスペースの整備)、感染拡大時を想定した専門人材の確保等(感染管理の専門性を有する人材、重症患者に対応可能な人材等)、医療機関における感染防護具等の備蓄・院内感染対策の徹底、クラスター発生時の対応方針の共有など。「感染拡大時の取り組み」として、受け入れ候補医療機関・場所・人材等の確保に向けた考え方、医療機関間での連携・役割分担(感染症対応と一般対応の役割分担、医療機関間での応援職員派遣等)等とされている。
今般の感染拡大時の病床確保に当たっては、感染状況に応じて新型コロナウイルス感染症以外の通常医療の稼働病床を一時的に休止して、新型コロナ病床に転用するとともに、臨時の医療施設等を活用することなどで行われた。当初は、受け入れ病床数が少なく、連携も十分でなかったため、特に重症者増加への対応が困難となった。
検討会では、感染拡大時では、特定機能病院・大学病院等において重症者、公立・公的病院や専門病院など地域の中核病院において中等症患者、その他の医療機関において軽症患者の対応を行いつつ連携を行うなど、医療機関の機能分化と相互連携、退院基準を満たした新型コロナ回復患者を受け入れる後方病床の確保。集中治療を提供できる体制を確保するためには、集中治療を担う人材確保・派遣・育成、平時から有事へのICU病床の弾力的運用、重症患者の広域搬送が必要であるなどの指摘があった。
現在、粛々と地域医療構想が推進されていることもあり、各医療機関には、さらなる地域における役割分担の明確化、より一層の医療連携の強化が求められている。