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時の話題
府医ニュース
2022年4月6日 第2996号
令和4年度の診療報酬改定は、本体プラス0.43%となった。プラス財源の原資は、薬価引き下げ、リフィル処方箋導入、薬剤給付の適正化など医薬品の適切な使用推進による薬剤費削減策による。このうち、リフィル処方箋の導入・活用促進による効率化により、マイナス0.1%削減できると試算されている。
リフィル処方箋については、これまでも国の医療費抑制策の一つとして「骨太の方針」などで導入が求められてきたが、日本医師会は「症状が安定している慢性疾患の患者であっても、定期的に診察を行い疾病管理の質を保つことが重要」として、一貫して導入に反対してきた。
しかし、今回の診療報酬改定では、昨年末の厚生労働大臣と財務大臣との合意により導入が決まり、1月26日の中医協総会で了承された。リフィル制度は、対象疾患、有効期間の違いはあるものの、すでにアメリカ・イギリス・フランスなど欧米諸外国では導入されている。アメリカでは1951年に導入され、一部禁止薬剤はあるものの、基本的には対象患者、リフィル処方箋の有効期間がない。今回の改定で導入されることになったリフィル処方箋は、症状が安定している患者について、医師の処方により医師および薬剤師の適切な連携の下、一定期間内に処方箋を反復利用できるものとされている。
我が国においては、平成28年度の診療報酬改定で「分割調剤」が導入されている。これは、例えば医師が90日分の処方箋を発行した場合、一度に90日分調剤するのではなく、薬局に対して3回の分割調剤を指示する場合などであり、リフィル処方とは異なる。医師の指示の下、長期保存が難しい薬剤、後発医薬品を初めて使用する場合などに行うが、これまで算定回数は伸びていない。
今回導入されるリフィル処方箋は、保険医療機関の保険医がリフィル処方可能と判断した場合、処方箋の「リフィル可」欄にレ点を記入する。処方箋の総使用回数の上限は3回までで、1回当たりの投薬期間および総投薬期間は、医師が患者の病状等を踏まえ、個別に医学的に適切と判断した期間とする。
療養担当規則において、投薬量に限度が定められている医薬品および湿布薬については、リフィル処方箋による投薬はできない。保険薬局は、次回調剤予定日等を管理し、服薬状況等の確認を行い、リフィル処方が不適切と判断した場合は、調剤を行わず、受診勧奨を行うとともに、処方医に速やかに情報提供を行うなど、これまで以上に医師・薬剤師の連携を求めている。
リフィル処方箋の導入により、医療機関への受診回数が減少することが想定される。処方は医師の裁量に委ねられることであるが、国民はそうは理解していないと思われる。今後の医師と患者の関係性が崩れるのではないかと危惧される。また、処方箋の「リフィル可」欄にレ点を記入する場合、より慎重な判断が求められ、安易に患者の希望により行うものではないことは言うまでもない。