
TO DOCTOR
医師・医療関係者のみなさまへ
TO DOCTOR
医師・医療関係者のみなさまへ
府医ニュース
2022年3月30日 第2995号
大阪府医師会・大阪府・大阪市が主催する令和3年度第2回認知症サポート医フォローアップ研修が2月19日午後、府医会館で開催された。今回はウェブとの併用で2題の講演が行われ、認知症サポート医・認知症地域支援推進員ら約270人が聴講した。
開会あいさつで中尾正俊副会長は、コロナ禍による外出自粛に伴う認知症の進行を危惧。認知症サポート医をはじめ医療・介護関係者が連携し、認知症患者・家族の感染対策とケアを両立させ、暮らしを守ってほしいと力を込めた。
引き続き、岡原和弘氏(府医介護・高齢者福祉委員会委員長)が座長を務め、池田学氏(大阪大学大学院医学系研究科精神医学教室教授)が「レビー小体型認知症について」をテーマに講演。コロナ禍での生活状況の調査によると、特に高齢の介護者家族において、外出の減少やストレス増加・食欲低下などの影響が出ていると指摘。また、同認知症は介護者の負担感が強く、家族へのサポートも重要だと述べた。
レビー小体は出現する場所によって症状が異なり、脳幹の中脳に生じた場合は「パーキンソン病」、大脳皮質にまで広く及ぶ場合は「レビー小体型認知症」と診断されると説明した。レビー小体型認知症の症状は他の認知症と比べて多様であるのが特徴とし、中核症状として、①認知機能の変動②レム睡眠行動障害などの睡眠障害③幻視④パーキンソン症状――を列挙。認知機能も数時間~数カ月単位で変動するため、最も状態の悪い時を基準に対応してほしいと求めた。また、▽食行動異常▽転びやすい▽自律神経障害▽抑うつ▽妄想――などの症状がある場合は、注意を要するとした。
さらに、治療とケアについても言及。非薬物療法(環境調整)として、「退院前訪問による予防的介入」を紹介。薬物療法も選択肢が増えてきたが、薬に対する「過敏性」があるため慎重に行う必要があると加えた。
その後、スクリーニングの際に使用する「診断ツールキット」に触れた。レビー小体型認知症の症状は診断が難しく、様々な診療科を受診する可能性があるとして、早期発見・対応への協力を呼び掛けた。
続いて、山田恵子氏(大阪府介護支援課認知症・医介連携グループ総括主査)が「大阪府認知症施策推進計画2021――概要と施策について」と題して登壇。同計画の取り組みとして、①普及啓発・本人発信支援②予防③医療・介護の提供、介護者支援④認知症バリアフリーの推進・若年性認知症の人への支援・社会参加――を概説した。
また、認知症に対する理解促進に向けて、「認知症サポーター」の養成講座やその講師役となる「キャラバン・メイト」の養成、認知症の本人が話し合う場として「本人ミーティング」などの事業を報告。さらに、早期発見・対応への施策として、「認知症初期集中支援チーム」と「認知症地域支援推進員」に対するフォローアップ研修を挙げた。そのほか、行方不明高齢者の早期発見・保護に努める仕組みとして「見守りSOSネットワーク」を紹介。認知症本人や家族の視点を重視しながら、 「共生」と「予防」を車の両輪として施策を推進していると結んだ。