
TO DOCTOR
医師・医療関係者のみなさまへ
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府医ニュース
2022年3月2日 第2993号
在宅医療における災害対策研修会が1月15日午後、府医会館で開催された。本研修会は「大阪府在宅医療総合支援事業」の一環として実施。当日は、医師・医療従事者ら約180人がウェブを中心に聴講した。
当日は塚本雅子氏(府医介護・高齢者福祉委員会委員)が座長を務め、前川たかし理事が開会あいさつ。在宅医療における災害時の対応は「地域包括ケアシステムと災害医療対策との連動」が必要と述べ、災害への適応力のある地域づくりに役立つことを願った。
引き続き、吉村春生氏(大阪介護支援専門員協会副会長)が「災害時の介護支援専門員の役割」と題して登壇した。冒頭、新型コロナウイルスの大流行も災害の一つであり、今は臨戦状態であると言及。医療関係者と連携し患者を継続的に支えたいと協力を求めた。
なお、同協会では「災害支援ケアマネジャー養成研修会」を開催していると説示。大阪府も「大阪DWAT(大阪府災害派遣福祉チーム)」を令和2年に立ち上げたことを報告した。また、今後はケアプランの中に、BCP(事業継続計画)が義務付けされるとして、その重要な理由などを詳説。地域のハザードマップの事前確認や各種データをクラウド内で共有することも、支援継続には重要と強調した。
次いで、岡原和弘氏(府医介護・高齢者福祉委員会委員長)が「在宅医療における災害対策について――かかりつけ医の立場から」をテーマに講演。最初に、全世界のマグニチュード6以上の地震の約20%が日本で起こっているとし、近年は集中豪雨や大型台風も増加傾向にあると触れた。
特に、災害時では限られた人的・物的資源を有効に活用した医療活動が求められると言明。かかりつけ医は、災害時の困難な状況下でも患者に寄り添うことで、真価を発揮すると力説した。その上で、都道府県・市町村が作成する「地域防災計画」や「BCP」について解説。市町村と地区医師会とが密に連携し、正しい情報を迅速に入手できる体制を平時から構築していることが重要と述べた。
さらに、かかりつけ医は、診療所でのBCPの流れを理解しておくことが大切と強調。被害を想定した上で、代替戦略として、▽職員▽建物▽設備・医療機器▽電子カルテ▽ライフライン▽医薬品――などの確保対策は必要と示した。加えて、日常診療のほか、予防接種・学校医・産業医・介護福祉関係業務への出務など、地域の保健医療活動により、様々な機関との関係を醸成することで、有事への備えを求めた。
最後に、自院の患者のみならず、避難所や地域包括ケアシステムの中でも、かかりつけ医機能を発揮してほしいと締めくくった。