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医師・医療関係者のみなさまへ

勤務医部会活動報告

府医ニュース

2021年10月27日 第2980号

大阪府医師会役員と勤務医部会役員との懇談会
府医勤務医部会副部会長 幸原 晴彦

 まず最初に、発表された演者の方々を始め、新型コロナに対して多大な貢献をされた医療関係者の方々に謝意を申しあげます。
 今回の懇談会では、大阪府医師会の宮川松剛理事、大阪・急性期総合医療センター院長の岩瀬和裕氏、市立東大阪医療センター院長の辻井正彦氏、りんくう総合医療センター院長の松岡哲也氏から講演を承った。演者は大阪府にまたがる重症コロナ拠点病院から選定、全域の状態が分かる講演形式になった。
 コロナ禍は長期にわたり感染を広げたが、それに対して社会的活動を行った医師会、更に臨床の最前線でも最も激しい重症管理で奔走された方々の発表で、現時点でのコロナ医療の概要が捉えられた。府医は最前線医師と行政の間を繋ぐ診療環境整備に奔走。▽PCR検査の手順整備▽医師の補償確立▽行政の協力要請への対応▽保健所検査体制の補完▽府民への周知▽専門家会議と検証▽自宅療養への対応――等々、府下におけるコロナ診療が円滑に行える社会環境整備を行った。コロナ拠点3病院からの発表では、地域によって病床規模に差はあるが、押し寄せる感染患者の4W1H対応に奔走した旨が伝えられた。すなわち医療関係者のどの職種が、院内部署のどこで、どのような臨床行為を行い、どの時間帯でのシフト対応で、どのような手順で従事していくか、変幻自在に変化するウイルス相手に展開させていったのかである。
 残るWはもちろん、コロナ患者治療のためである。波状に来院する患者への対応であるから息つく暇もなく、既存体制の見直しから始まり、人員配置に至るまで壮絶な戦いが繰り広げられた。利害関係が同一の病院の中では、対応に多少の変化はあるが、最終的には同様の布陣が成されている。情報共有がなされていたことはもちろんであるが、流れに逆らう物体が流線型になるがごとくである。この陣営設計に、行政との協力関係が功を奏したことは言うまでもない。ただ、行政が介入できるのは、既存体制への政策的かつ財政的支援であり、地域医療構想そっちのけの泥縄体制であった。今回発表された方々は、その泥縄に当たる部分を、短期間ながらも確固たるシステムに仕上げ、ギリギリながらも医療体制を守ったのである。しかし世間から指摘されていた後送ベッドの確保や、一般診療病床の維持が後手に回ったことは否めない。余りにも感染速度が早かったため、コロナ禍以前に議論されていた医療体制の脆弱な部分が露呈したのである。もし今回の布陣に注文を付けるのであれば、病院間の病床調整がもっと活発に展開されていれば、世間の中小病院云々という誹りは避けられたかもしれない。勤務医部会の地域医師会での活発な活動が望まれる。