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医師・医療関係者のみなさまへ
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府医ニュース
2021年8月25日 第2974号
大阪府医師会・大阪産婦人科医会の共催により、令和3年度第2回周産期医療研修会が7月31日午後、府医会館で開かれた。今回は「働き方改革は周産期医療提供体制にどう影響するか?」をテーマに実施。新型コロナウイルス感染拡大防止の観点からオンラインでの受講を主体とし、会場とあわせて120人が参加した。
冒頭、主催者を代表し、笠原幹司理事があいさつ。大阪府は全国的にも高水準な周産期緊急医療体制が整備されてきたと述べ、関係者らの尽力に謝意を表すとともに、体制の更なる整備・充実に努めていくとした。また、今回のテーマに取り上げた医師の働き方改革に触れ、「周産期医療は救急医療の要素が強く、多くの現場で過重労働の問題に結びついている」と説明。本研修会が医療現場を取り巻く課題の解決につながればと期待を寄せた。
講演では、大西聡氏(大阪市立大学大学院医学研究科発達小児医学講師)および丸尾伸之氏(淀川キリスト教病院産婦人科部長)が座長を務め、洲脇未央子氏(大阪府健康医療部保健医療室医療対策課長補佐)が「医師の働き方改革について」と題して登壇。医師の時間外労働上限規制の水準、規制が適用される2024年4月に向けたスケジュールを詳述後、医療機関の体制整備を支援する大阪府の取り組みを示した。
続いて、柴田綾子氏(淀川キリスト教病院産婦人科医長)が「現場でできる働き方改革とその効果」と題し、同科の実践例を紹介。▽カンファレンスを業務時間内に開催▽主治医による時間外の病状説明を廃止▽主治医制からチーム制/複数担当医制への移行――などにより、時間外業務を発生させない仕組みの構築につなげたとした。また、時間外・休日の呼び出しは「心身を休める時間を妨げ、バーンアウトの原因になる」と指摘。主治医の不在時は他の担当医や当直医が方針決定を行うこととし、看護師に「今、誰に相談したらよいか」が分かるよう周知したと述べた。その上で、働き方改革の推進には「患者とその家族からの理解が重要」と説明。患者側の理解を得るために、①主治医と別の医師とで治療方針が異ならないよう、情報共有を密にする②(時間外の主治医対応廃止について)事前に了解を得る③看護師等の医療スタッフに同席してもらう④文書を使って説明する――といった配慮や工夫が求められるとした。
柴田氏はまとめで、「無理だという思い込みが、変革の最大の障壁」と言明。「残業は仕方がない」「全員が同じ働き方を」という考えを捨て、男性医師と女性医師がともに働きやすい環境へ、皆が同じ方向を向くことが大切と語った。