
TO DOCTOR
医師・医療関係者のみなさまへ
TO DOCTOR
医師・医療関係者のみなさまへ
府医ニュース
2021年7月28日 第2971号
◆16人に1人、平成30年の体外受精によって誕生した子どもの割合である。出生数が年々加速的に減少する中、体外受精による子どもが増えている。同年の不妊治療総件数は約45万件に上り、実は、日本は世界最大の不妊治療大国といわれる。
◆現政権は、少子化対策の柱として不妊治療支援を掲げている。顕微授精などの高度生殖補助医療や体外受精に用いる排卵誘発剤、勃起障害の治療薬の保険適用拡大、学校や職場の健康診断で月経痛などの関係項目を追加する不妊予防支援策などである。
◆しかし、晩婚化が進む社会状況にあって40歳以上の不妊治療患者が多く、その妊娠率、出産率は低い。身体的、経済的負担に見合う恩恵に結び付いておらず、不妊治療の保険適用には適正な指針が必要となろう。また、不妊予防策としては最も肝心な子宮頸がんワクチンの積極的勧奨は中止されたままであり、今後、国の確固たる姿勢が望まれる。
◆その上での不妊治療支援の方向性に異存はないが、これが少子化対策の本筋かどうかは怪しい気もする。(誠)