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時事

新型コロナウイルスワクチン接種

府医ニュース

2021年3月3日 第2957号

3月中旬自治体コールセンター稼働へ

 2月17日、厚生労働省から「新型コロナウイルス感染症に係る予防接種に関する相談体制の構築について」事務連絡が発出され、自治体に対し、3月中旬を目途にコールセンター等を開設するよう求めた。ちなみに、1月末時点での市区町村対象の進捗状況調査では、「窓口での相談体制」および「コールセンターの調達」準備に関し、「実施済み」と「実施できる見込み」を合わせて、どちらも48%と半数に届いていなかった。
 国が描く新型コロナワクチンに関する相談体制は、5つもの窓口から構成される。①厚生労働省:コロナワクチン施策の在り方等に関する問い合わせへの対応(2月15日開設済み)②都道府県:医学的知見が必要となる専門的な相談など、市町村では対応困難な問い合わせへの対応③市町村:住民や医療機関からの問い合わせ対応④ワクチン接種円滑化システム(V―SYS)サービスデスク:V―SYS利用者からの問い合わせへの対応⑤ワクチンメーカー:各ワクチンに係る個別具体的な問い合わせへの対応。そして各窓口は、必要に応じて担当の窓口を紹介することとなっている。
 自治体への問い合わせに対する応答例では、▽重い急性疾患や、ワクチンの成分にアナフィラキシーなど重度の過敏症の既往歴があり、接種不適当者に当てはまると思われる人▽心臓、腎臓、肝臓、血液疾患や発育障害などの基礎疾患があったり、過去に受けた予防接種で接種後2日以内に発熱や全身性の発疹などアレルギーが疑われる症状が出たなど、要注意者に当てはまると思われる人▽授乳中でワクチンを受けるかどうか悩んでいる人▽抗凝固薬を飲んでいるかどうか不明な人▽最近手術をしたばかりの人▽アレルギーのある人――について【かかりつけ医(もしくは主治医)にご相談下さい】と投げている。
 「接種前に必ず問診、検温及び診察(視診、聴診等)によって健康状態を調べること」。更に接種要注意者について「健康状態及び体質を勘案し、診察及び接種適否の判断を慎重に行い、予防接種の必要性、副反応、有用性について十分な説明を行い、同意を確実に得た上で、注意して接種すること」。コミナティ添付文書のこの表記自体は、実はインフルエンザワクチンなどと一言一句変わらない。しかし〝実使用実績のないワクチン〟ゆえ、受ける印象と重みはかなり異なる。
 ちなみに、2月15日に通知された新型コロナワクチン予診票の様式には、これまでのワクチン同様、「現在、何らかの病気にかかって、治療(投薬など)を受けていますか。その病気を診てもらっている医師に今日の予防接種を受けてよいと言われましたか」の項目が存在している。
 高齢者には高齢者ならではの特性があり、事前の準備が不十分であれば、接種当日の円滑な実施は望めない。ワクチン供給の問題で、接種スケジュールが更に遅れる可能性も報じられているが、地域の現場での前捌きは、間もなく始まろうとしている。(学)