TO DOCTOR
医師・医療関係者のみなさまへ

かかりつけ医等発達障がい対応力向上研修

府医ニュース

2020年11月25日 第2947号

ライフステージに応じた支援を展開

 令和2年度「かかりつけ医等発達障がい対応力向上研修」が10月31日午後、大阪府医師会館で行われた。本研修は大阪府から委託を受け昨年度より実施。医師・医療従事者ら約100人が聴講した。
 前川たかし理事が座長を務め、中尾正俊副会長があいさつ。発達障害児者への診察に関しては、幼少期だけではなく、成人になってからも適切な対応が求められるとし、本研修がその一助になればと期待を寄せた。
 続いて、平井啓一氏(大阪府福祉部障がい福祉室地域生活支援課)が、「府の発達障がい児者支援施策――発達障がい児者支援における医療と福祉の連携を中心に」と題して講演。発達障害者支援法に基づく国の支援を概説した後、大阪府の施策を詳説した。その中では、「ライフステージに応じた切れ目のない支援」を軸に、専門医療機関ネットワーク構築事業に取り組んだと説示。かかりつけ医が早期に気付き、専門医へつなぐことが大切とした。また、福祉サービスを説明するとともに、相談体制の強化を強調。各事業所の具体的な取り組みを述べた。
 次いで、鍋谷まこと氏(淀川キリスト教病院統括副院長/小児科主任部長)より、「発達障がい診療の勘どころ」と題する講演が行われた。鍋谷氏はまず、自身の臨床経験を交えて、今般の新型コロナウイルス感染症と発達障害との関係性に言及。学校の休校や家庭で過ごす時間が長くなったことによる影響を感じたとし、環境調整やコミュニケーションの重要性を指摘した。また、発達障害の特徴を挙げ、早期に発見し福祉へつなぐこと、孤立させないことが重要だと加えた。そのほか、保護者が感じやすい不安を挙げ、それらへの対応を説明。単に病名を伝えるのではなく、効果的な接し方や特性を丁寧に伝えることが大事だとした。そして、診察のポイントとして、「話を聞く」「将来のイメージを示す」などを紹介。親子が新しい物語を作ることを支えてほしいと結んだ。