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府医ニュース
2020年9月30日 第2941号
冥(くら)きより
冥き道にぞ
入りぬべき
遥かに照らせ
山の端(は)の月
平安時代の歌人、和泉式部の歌です。
和泉式部は、恋多き女と言われ、同時代の紫式部に「歌の才能はあるが、素行が悪い」と評されています。現代なら誰のようだろうかと考えても、千年後にも作品が残るほどの才能の持ち主となると思い浮かびません。
和泉式部の人生は、最初の夫と離別し、その後恋人が二人続けて20歳代で亡くなり、後年再婚し、と波乱に満ちたものでした。自分は暗い道から更に暗い道をたどっているというこの歌は、そんな和泉式部が人生を振り返って詠んだように思えますが、実際はごく若い頃に詠んだものであろうということです(異説あり)。
和泉式部とは同時代に生きていても友達になれたとは思えませんが、この歌には心ひかれます。自分が暗い道をたどっていると思うかどうかは別としても、後半に詠われている自分の歩む道を「山の端の月」に静かに照らしてもらいたいという思いには共感を覚えます。折に触れ思い出される歌です。
さて、コロナ禍に覆われた地上をも、「山の端の月」は照らしているのでしょうか。
今年の中秋の名月は10月1日だそうです。
(瞳)