
TO DOCTOR
医師・医療関係者のみなさまへ
TO DOCTOR
医師・医療関係者のみなさまへ
時の話題
府医ニュース
2020年4月22日 第2925号
新型コロナウイルス感染症に関する対応で医療現場は混乱し、緊張状態が続いている。新興感染症であるが故、予防法、感染拡大防止策、受診、検査等についての在り方が刻々と変化し、対応に追われている。
政府は緊急対応策第一弾として総額153億円の国費を投じ、政府チャーター機による帰国者等およびクルーズ船ダイヤモンド・プリンセス号の乗員・乗客の生活支援・健康管理についての支援、国内感染対策の強化として、病原体等の迅速な検査体制の強化等、感染症指定医療機関等の治療体制・機能の強化、検査キット・抗ウイルス薬・ワクチン等の研究開発の促進、マスク・医薬品等の迅速かつ円滑な供給体制の確保などを行った。
また、第二弾として、感染拡大防止策と医療提供体制の強化とともに、市民生活への影響、様々な事業所への影響が深刻となるなどのために、休校に伴う休暇取得支援、ウイルス検査の拡充、中小・零細企業向け特別貸付制度の創設を柱とした4300億円の財政処置、1兆6千億円規模の金融支援が盛り込まれた。更に第三弾として、GDPの約2割に相当する108兆円規模の緊急経済対策を実施する方針を固めた。
その後、「新型インフルエンザ等対策特別措置法」改正案が3月13日、参議院本会議で可決、成立。翌14日に施行された。4月7日には国の新型コロナウイルス感染症対策本部が開催され、本部長(内閣総理大臣)から新型インフルエンザ等対策特別措置法(平成24年法律第31号)第32条1項に基づき緊急事態宣言が行われた。緊急事態措置実施地域は大阪府を含め7都府県、期間は令和2年4月8日から同2年5月6日までとすることが公示された。
大阪府ではこれを受け、対策本部長(知事)権限により、医療機関への通院、食材の買い出し、職場への出勤など、生活維持に必要な場合を除き、外出自粛、イベント開催自粛、施設等の休止要請が行われ、同時に様々な支援策が提示された。府は今後も感染者が増えることが想定され、感染症指定病床のみでは対応できないことから、医療崩壊を防ぐために宿泊施設の活用、一般病院での患者受け入れ等の対策を進めている。
現在、地域医療構想調整会議では国の命題である病床削減を目指した議論が進んでいる。特に急性期病床を減らすために診療報酬による政策誘導が顕著である。今回の新型コロナウイルス感染症による医療崩壊を来した諸外国は、医療費削減を目的とした病床数削減により急性期病床が少なく、保険制度も十分ではない。地域医療構想では、今後も起こりうる新興感染症、近年多発している自然災害など、有事の際の視点が欠落しており、再考の余地があるのではと考える。
一度なくした医療資源は簡単には再生できない。地域医療を守り、決して医療崩壊を来してはならない。