
TO DOCTOR
医師・医療関係者のみなさまへ
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府医ニュース
2020年2月26日 第2920号
令和元年度第2回学校保健講習会が同年11月28日午後、大阪府医師会館で開かれた。当日は3題の講演が行われ、学校医や養護教諭など約300人が参加した。
開会にあたり森口久子・府医学校医部会副部会長(府医理事)があいさつ。本講習会は学校現場での様々な課題をテーマとして実施していると述べ、本日の内容を少しでも役立ててもらえればと期待を込めた。座長は、坂哲郎氏(同部会耳鼻咽喉科対策委員会委員長)・竹中義人氏(同部会精神保健対策委員会委員長)が務めた。
はじめに、愛場庸雅氏(同部会耳鼻咽喉科対策委員会委員/大阪市立総合医療センター耳鼻咽喉科主任部長)が「難聴と言語発達障害の学童期での対応」と題して講演。普通学校で難聴児が増加している現状に触れ、補聴器・人工内耳を使用する児童生徒に対する配慮を示した。また、難聴による言語発達や学校適応への影響のほか、聴覚認知障害(聴覚失認)や言語発達障害、学習障害などの症状を紹介。早期介入による進展の防止や支援の必要性を強調した。
次いで、都井正剛氏(同部会精神保健対策委員会委員/都井メンタルクリニック院長)が「未成年にみる依存症」をテーマに、依存・嗜癖の定義などを解説。これらは衝動を抑えられなくなっている状態(衝動制御障害)とし、「ひとつの物・行為にのめり込みすぎて、他の多くの大事なことを失うかどうかが分岐点」と指摘した。また、インターネットゲーム障害の症例を挙げ、生活や人間関係に大きなストレスを抱えた時、学校生活や仕事に意義を見出せなくなった時などに陥りやすいと注意を促した。
その後、安田由華氏(同部会精神保健対策委員会委員/生きる・育む・輝くメンタルクリニック院長)が「児童思春期外来で遭遇するソーシャルネットワークと子どものこころの諸問題」をテーマに登壇。インターネットやスマートフォンが普及する中、これらのメリットとリスクの両面を認識して活用することが重要とした。また、依存症に併発しやすい症状として抑うつ状態や睡眠障害などを列挙。最後に、インターネット依存の問題には、教育・医療・行政などが協力して取り組むべきと締めくくった。