
TO DOCTOR
医師・医療関係者のみなさまへ
TO DOCTOR
医師・医療関係者のみなさまへ
時事
府医ニュース
2020年2月19日 第2919号
令和元年12月27日、厚生労働省から「医療・介護分野における職業紹介事業に関するアンケート調査」集計結果(概要)が公表された。この調査は、人材不足が顕著である医療・介護分野の「求人事業所」「就職者」「職業紹介事業所」を対象に、同年6月から8月にかけてウェブ調査の形で委託実施された。
このうち「求人事業所」については、事前調査等から民間職業紹介事業者の利用実績のある病院や介護施設等を抽出し、医療分野では有効回答数964件(有効回答率45.6%)、介護分野では同574件(同30.3%)となっている。
「民間職業紹介事業者を利用する理由」は、「ハローワークやナースセンター等の採用経路では人材を確保できなかったため」が病院71.1%、介護施設73.7%とトップで、次いで「確実に求職者を紹介してもらえる」(同40.0%、33.3%)であった。
「採用1件あたりの職業紹介事業者に支払った手数料額」の平均は、病院では医師276.6万円(厚労省の統計から算出した年収の23.8%)、看護師・准看護師91.8万円(同19.1%)、看護助手58.7万円(同19.3%)、薬剤師122.5万円(同22.5%)。介護施設では介護支援専門員64.2万円(同16.7%)、介護職員50.1万円(同15.0%)、看護職員71.0万円(同14.8%)となっていた。手数料に関し「経営上負担となっていて高い」が、病院69.2%、介護施設70.4%を占め、「適正」および「高いと考えていない」を合わせた回答(同6.7%、13.0%)をはるかに上回っていた。
「3カ月以内/6カ月以内の離職率」は、病院では各職種平均13.3%/24.2%で、職業紹介事業者〝以外〟を経由した就職者の離職率7.4%/12.8%を大きく上回っていた。介護施設においても同様で、24.9%/34.7%対16.0%/23.3%となっていた。病院医師では、13.0%/19.0%対0.8%/3.6%と、職業紹介事業者を経由した場合と〝経由しない〟場合の割合の離職率の差が、最も顕著であった。
改正職業安定法(平成30年1月1日施行)の浸透状況をみる項目では、▽人材サービス総合サイト(厚労省職業安定局設置)で手数料、就職者数、6カ月以内の早期離職者数などについて確認できることを「知らなかった」が病院76.0%、介護施設80.1%、▽紹介事業者の2年間の転職勧奨禁止について「知らなかった」は同70.3%、79.2%、▽お祝い金が望ましくないとされていることを「知らなかった」が同61.2%、77.3%となっていた。
一般には、大手の人材紹介会社への手数料は、年収の35%が相場とされ、ITエンジニアなど、業種によっては50%ともされる。本調査結果では、医療分野で20%内外、介護では15%内外となっており、事業者とのトラブルも「特にない」が過半数を占めている。インパクトが弱いと受け取る向きもあるが、現場の実感と乖離しているとの指摘もなされている。高い離職率のまま、手数料だけが上昇していく事態は、なんとしても避けたい。
(学)