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府医ニュース
2020年2月5日 第2918号
一国の総所得を測る尺度であり、その国の経済的な「豊かさ」を測る尺度でもあるGDP(国内総生産)。次のGDPの恒等式は簡単なので覚えてほしい。
GDP=C(消費)+I(投資)+G(政府支出)+NX(純輸出)
この恒等式は必ず事後的に成立する。
Cは消費、つまり「家計による支出」と定義付けられる。Iは投資=企業が行った支出である。そしてGは国、地方自治体が行う財・サービスへの支出を指し、NXは輸出から輸入額を引いたもの、つまり貿易収支だ。
我が国は今なお、GDP世界第3位の経済大国であるが、国民1人当たりのGDPに関しては88年の2位から26位に転落した。現在のGDP規模は米国の6割、ノルウェーの4割程度である。
我が国ではGDPの6割を占めると言われる国内消費(C)。そこに消費増税を繰り返してきたのだから、個人消費は落ち込みGDPは伸び悩むのは当然。だからこそ、政府ができる政策である財政出動(G)をと思うが、ICT化で多様な商取引(つまり仕事や労働量)がこの30年で圧倒的に増えているにもかかわらずデフレのまま。つまり政府支出は十分になされていないのだ。
格差によって国民は疲弊し分断があらゆるところで生じている。この指摘には同調できる。しかし、その分断を乗り越えるために、人々の営みを表す消費税に増税を、連帯の証とするというスローガンには同意できない。今、未来世代のために必要なのは「緊縮」ではなく、経済的豊かさを取り戻すために内需を守り育てる政策だろう。
(真)