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医師・医療関係者のみなさまへ
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府医ニュース
2019年9月25日 第2905号
9月9日の「救急の日」および同日を含む「救急医療週間」は、厚生省(当時)により昭和57年に制定され、各地で関連行事が実施されている。大阪においても例年実施しており、令和元年度の催しを9月12日午後、大阪府医師会館で開催。約140人が参加した。
救急医療功労者(団体)表彰式典は、大阪府・大阪市・大阪府下消防長会・府医の主催で挙行された。冒頭、主催者を代表し茂松茂人会長があいさつ(加納康至副会長代読)。救急医療の発展と向上に尽力する関係者に感謝の意を表した。その上で、昨年、大阪において震度6弱の揺れを観測した大阪府北部地震や台風21号による暴風雨被害により、ライフラインの途絶など、生活に大きな影響が及んだことに言及。質の高い救急医療や災害時の医療体制を担保する必要性を訴えた。更に、6月に開催されたG20大阪サミットにおいて、円滑な救急・災害医療体制の構築・運営が図られ、無事終了したことを報告。大阪の救急・災害医療がより充実したものとなるよう期待を寄せた。
続いて、救急傷病者の受け入れや搬送業務に長年携わってきた個人・団体に対し、主催団体より表彰状・感謝状が贈呈された。 あわせて、司会の鍬方安行理事より令和元年度救急医療功労者厚生労働大臣表彰受賞者(塩野茂氏/大阪府立中河内救命救急センター所長)および救急功労者総務大臣表彰受賞者(松岡哲也氏/地方独立行政法人りんくう総合医療センター副院長兼救急診療部長)が紹介された。
来賓として出席した塚原太郎・近畿厚生局長は、救急医療に携わる関係者の活動に謝意を表するとともに、救急医療体制の更なる充実に向けて協力を要請した。
被表彰者を代表して謝辞を述べた和田和子氏(大阪府知事表彰)は、高齢化や医療の高度化が進み、救急医療の重要性が増していると強調。また、自然災害の頻発を受けて、大規模災害への備えが求められているとし、更なる体制確保に邁進していくと誓った。
救急災害医療研修会(府医主催)では鍬方理事が座長を務め、まず、加納副会長があいさつ。多死社会にあっては、単身高齢者の増加などにより異状死となる遺体の増加が見込まれるとし、検案体制の充実に向け、共に考えていきたいとした。
続いて、大阪府監察医・警察医などを務める河野朗久氏(河野外科医院)が「救急医療と死因究明診断」と題して講演。大阪府下の異状死体取り扱い状況や、死因診断に係る法的根拠、監察医と警察医の違いなどについて解説した。更に、東日本大震災での検案作業を説明。検案は救急・災害医療の一環である、検案は医師であれば誰でも行えるなどとしたほか、救急医療現場で得られたデータの警察医や監察医への提供について協力を呼びかけた。
次に、藤見聡氏(大阪急性期・総合医療センター高度救命救急センター長)が「救命救急センターにおける死亡診断の現状と課題」と題して講演。同センターにおけるCPA(来院時心肺停止)症例に関し、死亡診断書発行の現状や、死亡診断書作成への取り組み、死体検案書とのマッチングなどについて説明。CPA症例の死後診察を行うことにより臨床の現場で死亡診断書を作成することができる、一定の基準を作成することによりCPA症例での死亡診断書作成が進む可能性が示唆された――などとまとめた。
〇地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪母子医療センター新生児科主任部長
和田 和子
〇独立行政法人国立病院機構大阪医療センター看護師長馬場 和美
〇こどもクリニック久保医院院長
久保 馨
〇地方独立行政法人大阪市民病院機構大阪市立総合医療センター救命救急センター
〇地方独立行政法人大阪市民病院機構大阪市立総合医療センター産科部長
中本 収
〇社会医療法人生長会ベルランド総合病院急病救急部長北岸 英樹
〇大阪市消防局消防司令真栄田 義彦
〇高槻市消防本部消防司令補
水上 隆
〇泉大津市消防本部消防司令
橋本 善人
〇松原市消防本部消防士長林 憲彦
〇守口市門真市消防組合消防本部消防司令補藤﨑 巳三雄
○大阪府立中河内救命救急センター所長
塩野 茂
○地方独立行政法人りんくう総合医療センター副院長兼救急診療部長
松岡 哲也
(個人の敬称略)