
TO DOCTOR
医師・医療関係者のみなさまへ

TO DOCTOR
医師・医療関係者のみなさまへ
府医ニュース
2018年9月5日 第2867号
大阪府警察医会は7月14日午後、大阪市内のホテルで平成30年度通常総会・学術講演会を開催した。総会では、竹中秀裕会長ほか新執行部の選任を決定。竹中会長は3期目の執行部運営に際して、一層の支援を呼びかけた。また、「大阪府死因調査等あり方検討会」では監察医制度の廃止が取りざたされたが、昨年度、自身も参画した「大阪府死因調査等協議会」(以下、協議会)がまとめた提言で、存続が明記されたとした。そのほか、議事では29年度会務・歳入歳出決算の報告の後、30年度事業計画案・同予算案が協議され、いずれも賛成多数で承認された。
学術講演会では、はじめに永井仁美・富田林保健所長(前大阪府健康医療部保健医療室副理事)が、「大阪府における死因調査体制の整備に向けて」と題して登壇した。永井氏は、大阪府の死者数等のデータ(27年)を提示。全体の死者数8万3577人のうち、15%弱が「異状あり」に該当し、このうち1万1702件は、「犯罪の疑いが『なし』『低い』」として、監察医・警察医による検案や解剖、警察署長が判断する「調査法解剖」を経て死因判明に至ったと述べた。また、大阪府監察医事務所の取り扱い事例(28年3月~12月)では、独居の場合、死亡から発見までの時間が48時間以上経過していたケースが全体の約半数を占めたと報告。これらを踏まえ、協議会では超高齢社会に即した死因調査体制の構築に向け、現行の監察医制度を活用しつつ、府域全体の体制を整備していくことで意見集約されたとした。また、大阪府医師会学術講演会(4月26日開催)で実施された、「在宅での看取り」に関するアンケート調査の結果を報告。今後は、主治医や救急医への研修など「死因診断体制の整備」のほか、「適切な解剖体制の構築」「府民啓発」に取り組むと述べ、更なる協力を要請した。
続いて、「検案業務の現状と取り扱い事例からの教訓」をテーマに、甲斐俊也・大阪府警察本部刑事部検視調査課長が講演。事件性が疑われる事例への対応や、超高齢社会における検案の課題などに言及した。また、独居のケースでは、遺体発見までに時間が経過していることが多く、最期の状況が分かりにくい点などを指摘した。