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時の話題
府医ニュース
2018年3月21日 第2850号
今後、増加が見込まれる高齢者の慢性期医療・介護ニーズに対応するため、昨年6月2日、「地域包括ケアの強化のための介護保険法等の一部を改正する法律」(地域包括ケア強化法の改正)等が公布された。それにより新たな介護保険施設である介護医療院が創設されることになった。
介護医療院は、介護保険法上の介護保険施設であるが、医療法上は医療提供施設として法的に位置付けられる。一方、介護療養型医療施設は、法的には廃止が決定し、平成23年度末の廃止予定が29年度末まで延期されていたが、本法律により廃止までの猶予期間として更に6年間延長された。介護医療院は、これまで介護療養病床削減が遅々として進まなかった中で、医療療養病床(医療保険適用)と介護療養病床(介護保険適用)の転換先として考えられている。
創設の背景には、▽多死社会における看取りへの対応▽廃止に伴う介護療養病床が担ってきた機能の継承▽在宅療養を支援するための病状悪化時の受け皿▽介護老人福祉施設などの介護施設における医療ニーズの増大――など、高齢者の多様な医療・介護ニーズへの対応が求められている現状がある。介護医療院は、「長期療養のための医療」と「日常生活上の世話(介護)」を一体的に提供する介護保険施設とされている。日常的な医学管理が必要な要介護者の受け入れと看取り・終末期ケア、生活支援、更には在宅療養の支援、在宅と医療機関とをつなぐ役割等の機能を持つ施設として期待されている。
開設主体は、介護老人保健施設(老健)と基本的には同様で、地方公共団体、医療法人、社会福祉法人などの非営利法人等である。基本的に診療内容については、介護療養型医療施設、体制の基準に関しては介護老人保健施設に係る給付調整と同様に扱われ、人員配置、利用者像等に応じて給付調整される。
介護療養病床からの移行促進のために、基本報酬は介護療養病床と同等以上に設定され、1日当たり93単位の移行定着支援加算(2021年3月末まで、1年間に限定)が設定される。また、療養室などに関する大規模改修までの経過措置が認められ、更に住まいの機能を有するとの考え方から、診療報酬の在宅復帰率要件においては、居住系介護施設などと同様に「退院先」と扱われることになった。
地域包括ケア強化の推進役として期待される介護医療院の概要が明らかになり、医療療養25対1(療養病棟入院基本料2)の評価が厳しくなることなどから、今後、数年で介護療養型医療施設(介護療養病床)、および医療療養25対1からの転換が進むものと予想されている。