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医師・医療関係者のみなさまへ

周産期医療研修会

府医ニュース

2018年3月21日 第2850号

無痛分娩の現状・課題など報告

 平成29年度第4回周産期医療研修会(大阪府委託事業/大阪府医師会主催)が2月24日午後、府医会館で開催された。今回は、「無痛分娩に関わる諸問題」をテーマに実施。医療関係者約180人が受講した。
 座長は南宏尚氏(愛仁会高槻病院副院長)と丸尾伸之氏(淀川キリスト教病院産婦人科部長)が務めた。冒頭、笠原幹司理事があいさつ。周産期医療の一層の充実とともに、妊産婦の心のケアへの取り組みにも力を入れていくと述べた。
 はじめに、「無痛分娩、その問題と大阪の現状」と題し、吉松淳氏(国立循環器病研究センター周産期・婦人科部長)が講演。無痛分娩は日本でも増加傾向にあり、最新の調査では全分娩数の6・1%を占めると述べた。また、22年から7年間に日本産婦人科医会に報告された妊産婦死亡例271件のうち無痛分娩は14例で、無痛分娩による死亡が増加しているとは言い難いと言及。その上で、「付随して発生する産科的事象」と「手技に伴う合併症の問題」は分けて考えるべきと指摘した。無痛分娩を行う医療機関の実態把握に努める一方、大阪では周産期医療に関する研修等を通じて研鑚を積んでいるとまとめた。続いて、「無痛分娩における母子の安全について」をテーマに、中畑克俊氏(関西医科大学麻酔科学講師兼同附属病院准教授)が登壇。産科患者の麻酔はハイリスクであると前置き。無痛分娩に関して、局所麻酔薬等を用いて分娩に伴う内因性の痛みを除去するものであり、麻酔科医の関与により周産期医療の安全性を高めることが期待できるとした。あわせて「安全性の担保」と「医療機関における麻酔科領域の人的資源に関する課題」を強調。トレーニングを受けた麻酔担当者が常駐し、適切に機能していることが重要であると述べた。
 最後に浅田留美子氏(大阪府健康医療部保健医療室地域保健課参事)が、妊婦に対するヒトT細胞白血病ウイルスⅠ型(HTLV―1)抗体スクリーニング検査による母子感染予防対策について説明した。