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時の話題

入院医療の新評価体系

府医ニュース

2018年3月7日 第2849号

実績評価による7対1の厳格化進む

 今回の診療報酬改定では、入院医療の評価体系についての再編・統合が導入された。高齢化に伴う将来の疾病構造、医療需要の変化に対応するために、7対1からの転換を促進するための改変とされる。現行の一般病棟入院基本料(7対1、10対1)を、急性期一般入院基本料とし、現行の7対1入院基本料については、ニーズに応じた弾力的かつ円滑な対応を可能とするため、10対1入院基本料との報酬の差(259点)に配慮した2つの中間的評価を新設した。その上で、医療現場での激変を避けるために急性期一般入院基本料として入院料を1~7まで7類型に傾斜配置された。
 新評価体系では、公益裁定で決定した急性期の重症度、医療・看護必要度についての基準値に関する要件も設定された。入院料1は、看護必要度1が30%以上で、診療実績データを用いた「看護必要度2」は25%以上。入院料2は、「同2」で24%以上」(許可病床数200床未満は経過措置22%以上)となり、現行の7対1より30点低い水準。入院料3は、「同2」23%以上(同21%以上)で、現行の7対1より100点低くなった。入院料4~7の点数は、現行の10対1と看護必要度加算を合わせた点数で、点数自体は据え置かれた。なお、特定機能病院、専門病院は、今回の新評価体系の適応外となり、7対1については、現行の入院料1の重症度、医療・看護必要度の基準値も現行通り25%となった。
 今回の改定でも看護配置などの基本部分と、重症患者割合に応じた実績部分とを組み合わせた報酬体系となったが、患者の状態に応じた評価が一層明確・厳格化された。一般病棟入院基本料(13対1、15対1)は、地域一般入院基本料に再編され、13対1入院基本料(1121点)に、重症度、医療・看護必要度を測定して評価される。
 療養病棟入院基本料は、現行の看護職員配置25対1以上の医療療養病棟は、20対1看護職員配置を要件とした療養病棟入院料に一本化され、医療区分2・3の該当患者割合に応じた2段階の評価に見直される。基本部分は、看護職員配置が20対1で、医療区分2・3の該当患者割合が80%以上の要件を満たせば「療養病棟入院料1」、同割合が50%以上の場合は「療養病棟入院料2」とするが、点数は現行を維持される。経過措置として、「看護職員配置20対1を満たさない場合」(療養病棟入院料2の100分の90算定)と、「同配置25対1を満たさない場合」(同入院料2の100分の80算定)が設けられる。
 今回の改定で、今後、更に7対1は減少することが見込まれ、患者の重症度、医療内容が厳密に問われることになる。診療報酬改定と連動して地域医療構想調整会議でも地域における個々の病院の立ち位置、必要とされる医療機能の判断が求められることになり、既に各医療機関に将来ビジョンを問う調査が始まっている。
 このように、診療報酬による強力な誘導での地域医療の再構築が行われている。地域医療構想調整会議では、医師の積極的な参加による「医療機関主導」での議論が求められる。