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医師・医療関係者のみなさまへ

HIV地域医療連携研修会

府医ニュース

2018年3月7日 第2849号

白阪氏が一般診療所の協力求める

 大阪府医師会は1月31日午後、平成29年度HIV地域医療連携研修会を府医会館で実施。白阪琢磨氏(大阪医療センターエイズ先端医療研究部長兼HIV/AIDS先端医療開発センター長)が「HIV感染症で期待される病診連携と課題――一般診療所における対応」について講演を行った。
 座長は、福田弥一郎氏(府医感染症対策・予防接種問題検討委員会委員)が務めた。宮川松剛理事の開会あいさつに続き、白阪氏が登壇。はじめに、「いまHIVでは死にません」と書かれたポスターを示し、▽1日1錠の服薬で治療できるようになった▽感染者から他者への伝播もほぼ無くなった――ことで、「HIV感染症は慢性疾患と言える」と言及した。また、世界エイズデーや非加熱製剤が使用されていた約7年間で1400人が新たに感染した歴史など、HIV感染症およびAIDSの概要を紹介した上で、疫学・治療を詳説。予防に関しては、HIVの感染が分かった段階から治療することで、AIDSの発症を防ぐことができると説明した。母子感染についても、妊娠中に適切に予防することで胎児へはほぼ感染しないとした。一方、現在は、HIV陽性者の治療全般がエイズ治療拠点病院に集中しているが、HIV陽性者も、感冒や花粉症、がんなど、様々な診療科を受診すると指摘。その上で、院内感染対策は、HBVやHCVと同様の標準予防策で十分であり、拠点病院が本来の機能を発揮するためには、地域の医療機関による支援が不可欠と強く訴えた。加えて、HIV特有の治療を要しない疾患については、一般診療所でも受け入れ体制の構築ができるよう、病診連携への協力を呼びかけた。