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西郷南洲流謫地跡を訪ねて

府医ニュース

2018年1月31日 第2845号

 昨年末、寒い季節には暖かいところに行きたいと思い、奄美大島に旅行しました。
 偶然だったのですが、今年のNHK大河ドラマは「西郷どん」。西郷隆盛は井伊直弼の「安政の大獄」から逃れるため、1859年(安政6年)から約3年間、奄美大島に隠れ住みました。その間に島の名家の娘である愛加那と結婚し、2人の間には一男一女が生まれました。
 海辺の小さな集落の中に西郷が島で最後に住んだ家がありました。藁葺きで二間だけのささやかな家で、中に西郷の遺品や直筆の書などが展示してありました。今も愛加那の甥の子孫の方が所有し、案内役もされていました。その方は子どもの頃、この家に住んでいたそうです。
 「桜田門外の変」で井伊が亡くなったため、この家を建てて移ってすぐに西郷は藩から召喚されて鹿児島に戻りました。しかし、当時の薩摩藩の決まりにより、島妻は鹿児島に連れて行くことができませんでした。やがて子ども達も鹿児島の西郷家に引き取られました。
 ひとり島に残された愛加那は、ずっとこの家で暮らし、1902年(明治35年)65歳で亡くなりました。
 当時はそのようなことは珍しくなかったと思いますが、それにしても、夫や子ども達と別れた後の愛加那の長い歳月を思うと、哀切な思いが湧いてきました。(瞳)