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時事

第5回経済財政諮問会議開催

府医ニュース

2017年5月17日 第2820号

医療・介護分野の改革論議始まる

 政府は4月12日に第5回経済財政諮問会議を開き、医療や介護分野の改革論議に着手した。医療・介護費の抑制を目指し、医療・介護費の地域差を洗い出すデータを活用して是正を促すほか、地域ごとに都道府県が主導して医療・介護を効率的に見直す仕組みをつくる方針。来年度予算編成は診療報酬と介護報酬の同時改定も焦点であり、社会保障改革を巡る攻防が激しさを増す。
 2013~15年度の医療費は年平均2.6%増、介護費は同4.0%増と高齢化の伸びを上回って増加しており、「経済・財政再生アクション・プログラム2016」に掲げられた44項目の実行に着実に取り組む必要がある。また、最近の医療・介護費の増加の背景には、以下に掲げる特徴が明らかとなっており、2018年度に向けて、1.各種計画等の一体的推進、2.保険者等のガバナンス強化、3.健康増進・予防の推進に、重点的に取り組む必要がある――とした。
 全体的な特徴として、高齢者1人当たりの入院医療費と介護費は地域的に相関しており、医療と介護サービスを往復している可能性から、医療・介護の一体的な改革が不可欠と指摘した。高齢者に係る医療費、80歳以上の要介護認定率、受給率、1人当たりの費用ともに増加しており、1人当たりの医療費、介護費(高齢者の医療費、入院に係る医療費、在宅介護サービス等)に大きな地域差が存在することから、健康増進・予防を推進するとともに、優良事例を横展開すべきとした。
 塩崎恭久・厚生労働相は、地域の医療・介護費抑制に向け、都道府県の権限を強化する方針を表明した。地域における「予防・健康・医療・介護」は、それぞれ密接に関連するが、制度がバラバラで、都道府県の役割は限定的である。都道府県を個人・保険者・医療機関等の自発的な行動変容を促す司令塔にするため、制度(権限)、予算(財政)、情報(データ)、人材などの面で、都道府県の保健ガバナンスの抜本強化を検討する。2017年度以降、地域ごとの「地域医療構想調整会議」での具体的議論を促進するため、病床の機能分化・連携の議論に必要な診療等のデータの提供、基金の重点配分、診療報酬・介護報酬での対応を実施する。
 日本医師会も早急に日医総研等を活用して議論に必要なデータの集積と理論武装を進める必要がある。(中)