TO DOCTOR
医師・医療関係者のみなさまへ

羽曳野市・藤井寺市医師会学校医研修会

府医ニュース

2017年5月3日 第2819号

益田理事が講演 学校との情報共有が重要

 快適な学校環境づくりにおいて、教職員の健康を守る「学校産業医」の存在は欠かせない。しかし、多くの市町村で配置されていないのが実情であり、大阪府医師会では各市町村に適切な対策を要請している。このような状況の中、羽曳野市医師会(調子和則会長)および藤井寺市医師会(藤本恭平会長)は3月29日午後、学校医研修会を開催し、益田元子・府医理事が「学校現場における産業医活動――事務系企業を参考に」と題して講演。医師会員ら約30人が参加した。
 司会は松井甲三・藤井寺市医師会副会長が務めた。益田・府医理事は、はじめに、産業医活動に関連する法令や用語、職場巡視の目的を改めて説明。その上で、学校産業医には、職場巡視などを通じて、日頃から学校と情報共有する必要があると指摘。特に、近年の財政悪化により、契約期間が設けられた講師などの非正規教員の採用率が上がる一方、正規教員の新規採用が抑えられ、正規教員の業務量や労働時間の増加につながっているとの見方を示した。また、少子化による各学校の規模縮小に伴い、教員同士の距離は密接にならざるを得ず、結果として人間関係に悩む事例が散見されていると注意を促した。
 講演後には質疑応答が行われた。教職員の抱える不安などに気付くためのポイントとして、益田・府医理事は「学校行事や児童・生徒の様子などを何げなく尋ねながら、表情等を注意深く観察している」と自身の経験を紹介。学校園のメンタルヘルス対策は端緒についたばかり、府医としても今後、検討していきたいと締めくくった。