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医師・医療関係者のみなさまへ

IPPNW大阪府支部総会

府医ニュース

2017年5月3日 第2819号

 核戦争防止国際医師会議(International Physicians for the Prevention of Nuclear War/IPPNW)大阪府支部(安田正幸支部長)の第35回総会が4月15日午後、大阪府医師会館で開催された。

核兵器廃絶に向け根気よく活動

 開会あいさつで安田支部長は、平成28年4月に広島で岸田文雄外相を議長としてG7外相会合が開催されたこと、また、同年5月にG7伊勢志摩サミット開催後、米国のオバマ前大統領が安倍晋三首相とともに、広島の平和記念公園内にある広島平和記念資料館(原爆資料館)を訪れた当時は核軍縮に向け明るい兆しを感じたと述べた。しかし、その後のクリミア半島問題、トランプ大統領誕生後の北朝鮮を巡る情勢など、現在は非常に厳しい状況にあると指摘。今後も唯一の被爆国の医師として核兵器廃絶、核戦争防止に向け、根気よく活動していきたいと述べた。更に、横倉義武・日本医師会長がIPPNW日本支部長に就任予定であることを報告。3月末で会員が283人となり、減少傾向が続く大阪府支部増強のための心強い後ろ盾になると期待を示した。議事では、北村良夫運営委員(府医理事)から27年度収支決算を報告。その後、28年度事業および経理現況が報告された。続いて、29年度事業計画案、収支予算案などが提案され承認された。
 記念講演では、「核廃絶を取り巻く世界の現状」と題してIPPNW国際評議員でもある調(しらべ)漸(すすむ)氏(長崎大学副学長)が、核を巡る今日の世界情勢が危機的状況にあることを報告。米国、ロシア、中国などの大国の思惑により、国連においても核軍縮、核不拡散など核兵器廃絶に向けての議論が遅々として進まない中、現在の技術では小型核弾頭でも、一度の使用で世界が壊滅状態になることを説明した。更に、24年4月に長崎大学に設けた核兵器廃絶研究センター(RECNA)から学生や社会人を国連本部での国際会議に派遣していること、昭和32年7月にカナダの漁村・パグウォッシュに東西の科学者が集結したことを起源とする核兵器と戦争の廃絶を訴えた「パグウォッシュ会議」を一昨年長崎で開催した経緯など、核兵器廃絶に向けた活動を紹介した。
 パグウォッシュ会議に参加した物理学者や社会学者でさえ、被爆者の生の声を聞き、原爆資料館を訪れることで、それまでにない感覚を抱くこと、骨髄異型性症候群が被爆者に多く見られる現実も一部の専門家しか知り得ないこと――などを指摘。地球最後の日までの残り時間を示す「世界終末時計」が2分半前を刻む29年1月の状況を示し、「核兵器の使用に勝者はいない」と強調した。
【入会のご案内】
 IPPNWでは、核兵器廃絶をモットーに平和を希求する活動をしています。入会の申し込みは、大阪府医師会総務課(電話06―6763―7000)まで。月額会費1千円。