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時事

特定健診、来年度からの運用詳細が提示

府医ニュース

2017年4月26日 第2818号

受託機関での処理が複雑化?

 3月30日、厚生労働省「保険者による健診・保健指導等に関する検討会」が開催され、来年度からの第3期実施計画期間(平成30~35年度)における運用方法の詳細が提示された。これは、同検討会が1月に取りまとめた「運用の見直しについて(議論のまとめ)」を踏まえ、実務担当者によるワーキンググループの検討結果を加えて整理したものである。
 基本的な健診項目では、(1)血中脂質検査について、non-HDL-C(TCからHDL-Cを引いたもの)の判定値は、保健指導判定値:150㎎/dl、受診勧奨判定値:170㎎/dlとなった。なお、non-HDL-Cの位置付けは、TGが400㎎/dl以上や食後採血において、LDL-Cの代わりに用いた場合となっている。
 (2)血糖検査は、原則として空腹時血糖またはHbA1cであり、随時血糖の測定は、やむを得ずHbA1cを測定せず、かつ食後3.5時間未満を除いた時とし、保健指導判定値:100㎎/dl、受診勧奨判定値:126㎎/dlとされた(空腹時と同じ値)。優先順位は、1.空腹時血糖(食後10時間以上)、2.HbA1c、3.随時血糖(食後3.5時間以上10時間未満)である。
 詳細な健診項目に関しては、(1)血清Cr検査のために、採血が2回になることを回避すべく、1.基本項目の検体を保存し、血糖検査が判明した後に同一検体で実施 2.当初から血清Crを含めて測定(この場合、特定健診としての実施は、対象に該当した者に限られる)、2つの運用を示している。対象者は、血圧または血糖検査が保健指導判定値以上で医師が必要と認める者で、収縮期血圧130mmHg、拡張期血圧85mmHg、HbA1c5.6%以上が対象となる(血糖判定値は前述)。血圧値による対象者選定と検査項目の追加は、健診当日に可能との注釈が付いている。(2)心電図検査は"当該年"の健診で、血圧が受診勧奨判定値(収縮期140mmHg、拡張期90mmHg)以上、または問診で不整脈が疑われ、かつ医師が必要と認める者に対して健診"当日″に、眼底検査は"当該年"の健診で、血圧または血糖検査が受診勧奨判定値(HbA1cは6.5%)以上で、かつ医師が必要と認める者に対して、健診から"1カ月以内"に実施した場合、詳細な項目としての実施になる。対象となるも、結果として受けなかった場合は、受診勧奨(保険診療で受けることを勧奨)とされる。保険者から委託を受け、健診機関が受診勧奨することもできる。
 眼底検査は、前年度の結果に基づく対象者選定も可とされた。そして30年度は、29年度までの旧基準での対象者も実施できる経過措置がおかれている。
 特定保健指導においては、健診当日の初回面接実施について、メリットを挙げるとともに運用方法の改善が図られ、一定の要件を設けた上で、初回面接実施者と実績評価を行う者が同一機関でなくても良いとされた。
 健診当日の医師の判断や作業が多くなり、心電図や眼底検査の対象者も増えることが見込まれる。受託機関や地区医師会では、この1年間で準備や環境整備が必要になるかもしれない。(学)